第十五話 華やかな家族の絆
ここが北条家ですか…
(俺は東雲家の三人、祖父の巌、小百合、菫と北条家の御屋敷の門の前に辿り着いていた。その門の前で、俺はここが母さんの実家なのかとまだ半信半疑に思っていると、門の内側から一人の年若い女が出て来た。その女は菫の名を呼びながら出て来る)
菫ちゃんも来たんだね…お館様、おば様、おはようございます…
(爺さんと小百合に深々と頭を下げ、朝の挨拶をした後に、女は俺の方に向き直っていきなり手を両手で掴むと、自己紹介をして来た)
私は北条凛と申します。貴方のお母様、岬様の事は良く聞き及んでおります。祖父が大広間でお待ちです。さぁ、どうぞ…
(忌み嫌われた対応ばっかりを受けて来た俺にとって、凛と名乗る女の対応はとっても新鮮なものとして受け取った。そして俺達は、門の中に入って行くと、暖かい空気の感触を受けながら、一瞬母さんの声が聞こえた気がした)
≪澪、おかえりなさい、待っていたわよ…。樹さんと共にね…≫
(その声は確かに母さんの声の波長だった。その声を探す様に石畳の上を歩いていた。俺は母達の姿を探す様に後方を振り返ると、菫と凛が仲良く会話をしていた。俺の表情を読み取った菫は、何か感じ取ったのだと理解してくれた。そして俺を落ち着かせる様に、父さんと山の神々が声をかけて来てくれた)
≪落ち着いて周りをよく見なさい。澪、お前の両親はしっかと霊界に入っておる。だが声は其方の母からのれっきとしたメッセージよ。それだけは信じなさい。それではまたの。我が愛し子、澪よ≫
(山の神々も背中を優しく押してくれた。我々が、しかとお守りしておりますと言う言葉を受け取って、屋敷の玄関付近で待っている爺さん、小百合達の元に菫と凛と三人で向かい始める)
≪俺は悪霊なんかに負けないぜ!!俺の親父はアンタなんだからよ≫
(三人で歩きながら心の中で強く霊界の守護神たる、親父に語りかけて屋敷の中に入って行った)
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