第十四話 華やかな食卓

(翌日の早朝、目を覚ました俺は、東雲家の皆様と朝食を食べていた。その光景と雰囲気に、箸の手が何故か動かずに、じっと周りの方々を見ていた。俺がご飯を食べていない事を不思議に思った菫は、自らの箸の手も止めて、俺に語りかけてきた)




いかがなさいましたか?お味の方が合いませんでしたでしょうか?それなら直ぐに作り直しますので…。




(菫の言葉に、お茶碗と箸を置いて、菫の手を掴んで引き止めた。そして事情を細かく説明し始める)




こんなに暖かい食卓を、両親が亡くなってから経験して無かったから、呆気に取られていただけだよ…




(俺の言葉に菫は納得した様で、暖かい笑みを浮かべて見せて来る。そして幼い子達を叱りつけながら、俺に親切丁寧に語り掛けて来た)




我が家では、これが日常茶飯事ですので…。こら!!皆様がまだお食事中でしょう!!ちゃんと座っていなさい!!




(朝食を終えた子供達は、遊びに行きたくて走り始め様として居た為、菫は俺との会話を中断して子供達に厳しめな言葉を投げかけていた。俺の横隣には菫の父の巌雄が朝食を終えて、お茶を飲んでいた)




君も、菫と一緒になればこの様な暖かい食卓を築けるぞ…




(その発言をした厳雄の二の腕をつねる小百合の姿が、横隣からチラリと垣間見えた。そして俺の隣にいた菫は、顔を赤くして、食べ終わった食器を片し始めようとした時だった)




澪君、そして小百合と菫、支度をなさい。これから北条家に行くからの…。厳雄、わしが留守の間、お前に任せたぞ…




(菫の祖父、厳が食卓の場に遅く現れると、俺達の傍に来て北条家に向かう事を告げて来た。その発言に、俺はいよいよ北条家に赴くんだと覚悟を決めた)

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