第十三話 嵐を乗り越える者達

(前日の夜、俺は再び風呂に入って身体を温めた。そして客間を用意してくれた菫の母、小百合に感謝と屋敷を飛び出した事を謝罪した後に、菫の母、小百合からおにぎりを手渡される)




お夕飯食べていないのですから、しっかりお食べなさい、岬が生きていたら、きっと同じ様に叱ったと思います…




(母の名を語りながら、寂しそうな表情を一瞬見せたのを俺は見逃さなかった。そして小百合に感謝して、おにぎりが包まれているお皿を受け取り、客間に入った)




まさか、この地が母さんの故郷だったとはな…




(心の中で山の神々に母さんの事を知っていたのかと問うと、何故か神々は返答をせずにいた。そして一言だけ、語り掛けて来てくれた)




≪明日、北条家に訪れた時に澪、其方は真実を知るであろう。この地に辿り着いた事は、決して偶然ではなかったと知るであろう。今はこれだけしか語れぬ事を御許し頂きたい…≫




(山の神々は深刻な感じで語り掛けて来た。その深刻な口調から、何かがあるのだなと理解した。俺は布団に入り、その日は眠りについた)




(一方その日の深夜に菫の祖父、東雲厳は、とある場所に電話をかけていた)




…うむ、お主の娘の子供がこの村に訪れている。明日そちらにわしと小百合、菫も同伴の元、そちらに向かうが宜しいかの…




(電話の相手は、北条家の第五代当主の北条時生だった。その者は南雲岬の実の父親だった)


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