第六話 真実の神との友情の始まり

≪この者を山へ招いたのは我ぞ。責めるのなら、我を責めよ!!≫




(意識帯を残しながら山の神の言葉を聞いていた俺は、霊的な者が守ってくれている事に、驚きと共に微かな喜びを感じ始めていた。今までの俺は、霊的な事を口にする度に信じられずに来た。それは歳を重ねるにつれて、自らの言葉そのものも信じられなくなっていた。否定を繰り返されて来た俺は、自らの言葉も嘘なのだろうと思い始めていた。だが今、目の前に霊的な存在が、有権者、そして東雲のお館と呼ばれる爺さん達に、物凄い剣幕で語り掛けていた)




≪なぜ、あんたは俺の事を守ろうとするんだ?!見ず知らずの俺の事をなぜ、必死に守ろうとする?村の者達に嫌われたら信仰心が薄まるんだろ?≫




(俺の言葉に、山の神たちは暖かな笑みと一筋の涙を溢して語り掛けて来た)




≪私達は既に先ほど出会っている。そして言葉を交わしているのですよ?その御方を助ける事は、いけない事ですかな?≫




(数々の地で、霊的な者達に忌み嫌われて来た俺にとって、この者の言葉は身心に深く届く言葉だった。そして、この者は今までの各地で出会って来た霊的な存在とは、まるきり違うのだと理解出来た。その時だった。有権者と東雲家の者達が恐る恐るこの神に語りかけた)




お前は誰だ?!先ほどと口調もまるっきり違う…お前は何者だ!?




(各地の町民や村民達に、散々気味悪がられて来たセリフをここでも聞けるとは、と感心しながら山の者の受け答えを静かに聞いていた)




≪山の神、其方らが毎年大事にしている、山の者よ…。今、我はこの御方の肉体を通して、其方らに語りかけておる≫




(山の神の言葉を聞いた有権者達は、とても信じられない、と言った顔で俺達の方を見て来ていた。そして、東雲家の爺さんと菫だけは、真剣な眼差しで俺達の事を見つめて来ていた)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る