第四話 東雲家との会合

(男達に連れて来られた屋敷の門には、立派な表札が掛けられていた)




東雲家か…何の因果かね…南雲と東雲…




(表札を見ながら一人で愚痴を溢していると、俺の両脇に居る男達が、腕を掴んで屋敷の中に連れて行こうとした)




そんなに引っ張らなくても逃げやしねぇよ…




(俺がそう言うと、左側で俺の腕を掴んでいる男は睨み付けて来て、低い声で俺に語りかけて来た)




君は菫を悲しませた!僕は君の事を絶対に許さない…




(菫ってあの女の名前と言う事は、東雲菫か。まぁ、あの女の本名を知った所で、興味もわかないが一応知って置いてやるか。それにしてもこの男、あの女の事にやけにムキになっているな…)




お前、あの女のボディガードか何かか?…




(その言葉を、相手をおちょくる様な口振りで語ると、男は怒った様で俺を砂利の上に突き飛ばして怒鳴り散らして来た)




僕は彼女の婚約者だ!!お前なんか、この集落からいなくなればいいんだ!!お館様のお説教を受けたら、とっととこの村から出て行けよ!!疫病神が!!




(懐かしい言葉を聞きながら尻を軽くはたいて砂利を落とす。そして男に冷たい目線と冷たい笑みを浮かべて見せる)




ボンボンの甘ちゃん連中はお気楽だな…。この小さな世界しか知らないんだからよ…。言われんでも出て行くわ。一言言って置くとな、俺は、お前達の呼ぶ神様と言う奴に呼ばれて山に入ったんだ…。そこは勘違いするなよ?まぁ、信じやしないだろうがな…




(男達を置いて、屋敷の入口らしい所で待っていたら、暫くして大人の連中に案内され長い廊下を歩いて大広間の中に通された。そこには村の有権者、そしてこの村を取り仕切る東雲家のお館様と呼ばれる爺さんが、中央の奥に鎮座していた。その傍にはあの女、菫の姿もあった)

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