第三話 正しき事と向き合う真実の心

お前に関係ないだろ…人に石を投げつけて来たり、胸倉を掴んで来たり…なんなんだよ、お前は!!




(山で久し振りに感じた温かさに浸る暇もなく、俺は一人の女に付き纏われ、石を投げられたり、胸倉を掴まれたりして、散々な目に遭っていた。まだ、山の霊に名も名乗っていなかった事を思い出した時だった)




≪ふふっ…次会える時までの楽しみにして致しておりますよ。それよりも、その女性に乱暴な真似をしてはいけませんよ≫




(女は睨み付ける様に立ち上がって来ると、開口一番に怒鳴り付けて来た)




あの山はね、我が家が所有している山なのよ?そこに無断で入って置いて、アンタこそ…なんなのよ!!




(その言葉を聞いて、俺は不味い所に立ち寄ったかもと思っていると女は山の事を説明して来た)




あのお山にはね、神様がいるのよ…それを余所者のあんたなんかに汚されたくないの…




(フン、所詮どこに行こうとも俺は忌み嫌われる。女の言葉を受け取ると、俺は冷たい笑みを女に向ける。すると、女は何かを感じ取ったのか後退りし始めた。それに対して俺は冷静に女に語りかけて行く)




…なら、お前達はさぞかし綺麗な存在なんだろうな…ええ!?お前がさっきやった事は、人を傷付ける行為に当たるんだからな?!そんなお前が、なに人を否定している?!




(女に向かって怒鳴り付けていると、女の知り合い達なのか、人々が俺を取り囲み始める。その光景に、俺は笑みを浮かべながら、取り巻きの連中に語りかける)




フン!!お前達の山に無断で入った俺と、あの女のした事は下手したら、傷害事件になっていたんだぞ。どちらをお前達は正しいと判断するんだろうな…?




(女は、さっきまでの威勢は無くなり、友人の女に抱えられながら帰って行く。そして俺は、男達にあの女の屋敷に連れて行かれた。あの女はこの集落を取り仕切る家系の娘だった。そして、取り押さえて来た男の中には女の婚約者もいた)




≪人の世と言うのは難しい物ですね…南雲澪様≫




(遠くで山に住まう神が俺の名を呼んだ気がした)

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