第425話
ターレン王国の宮廷議会の貴族議員や官僚たちは、通貨そのものが今後は流入しないという認識がない。
それを聞いても平然としているのは、貨幣経済を取り入れずに統治し続けてきたストラウク伯爵だけである。
ダンジョンで魔獣モドキを討伐することで、現金が尽きることなく出現することを産業の
賢者マキシミリアンは、ダンジョン探索による犠牲者の増加は、人口減少が少子化による人類滅亡につながる可能性を危惧している。
魔獣が地上に繁栄していて、女神ラーナの化身を取り込み融合するため、他の生物を大量虐殺して捕食していた時代に人類が絶滅する危機があった。
冥界という別の次元の世界に女神ラーナの化身である転生者が奪われかけた辺境の大異変を阻止できなければ、やはり人類が絶滅する危機を迎える一歩手前だった。
そして、現在、少子化という新たな人類滅亡の危機を迎えようとしている。
女神ラーナの化身である転生者をモンスター娘のドライアドに生成変化させ、人類が滅亡したとしても、女神ラーナの化身を残すために、人間ではない存在に賢者マキシミリアンはした。
世界には存続する希望がある。
人間が存在しない世界になっても、今が良ければいい。将来的に人類がどうなろうと知ったことではない。
賢者マキシミリアンには、そうした考え方ができない。
エルフ族は、冥界に閉じ込められ続けている魔獣の王の蛇神ナーガという半人半獣の魔獣と同じように、世界樹に護られた別の世界に他の世界と隔絶して鎖国し続けている。
「なぜ、聖女エリザをすぐにエルフの王国へ案内することができないのかといえば、この私たちが生活している世界と重なり合っている別の世界に、世界樹やエルフの王国が存在しているからです」
蛇神ナーガがいる
「クリトリフの子の勇敢な冒険者レナードは、アルテリスによると女神ラーナの化身である僧侶リーナが辺境で殺害された犠牲者たちの
おそらく、私たちエルフ族という種族とは、人間でも精霊族でもない何かなのでしょう。
レナードをニアキス丘陵のダンジョンに蓄えられていた魔力を使いて、ドライアドでも世界樹の精霊族のようなものとなった僧侶リーナの元へと、
セレスティーヌの説明を聞いても、情報屋リーサや商人シャーロットには、まったく何を言っているのか意味不明なのだった。
(だって、聖女様はエルフ族の王国から帝都へやって来たって本人からも聞いたことがあるけど。異なる世界?)
(エルフ族、人間、獣人族はわかるけど
情報屋リーサは異なる世界ということが、いまいち理解できない。
商人シャーロットは
「それは、神の眷族となった者がいなければ、
「私たちの娘ミレイユは、今は女神ノクティスの剣の花嫁ですから、たしかに人間でも、エルフ族でもありません。しかし、女神ノクティスは夢を司る女神であらせられるので、無理にエルフの王国へ渡ろうとすれば、古代のハイエルフ族やエルフ族の男性のようにまた別の世界へ渡ってしまい消えてしまうかもしれませんし、大いなる
それを聞いて、レアンドロ王は深いため息をついてからうなずいた。
「つまり、聖女様はまだ神の眷族ではなく、エルフの王国の世界樹へ呼ばれていないということなのだな」
「はい、そういうことになります。しかし、私たちはどうすればいいのか、エリザの何かが変わるのか、今のところ、まったくわかっていないのです」
ゼルキス王レアンドロは、神の眷族といった。女神ラーナとは何か?
賢者マキシミリアンとセレスティーヌにも、女神ラーナの化身とは、理解を超越した何かとしか言えない存在としか説明しようがない。
情報屋リーサと商人シャーロットが少しだけ身近な話として理解できて、とても気がかりに思ったのは、やがて、この世界は少子化によって、やがて子供がいなくなるかもしれないということだけであった。
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