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第３９９話

　エルヴィス号の勾玉型の魔石に、邪神ナーガが強引に潜入した。令嬢エステルの姿の美少女の肉体に、東の海の女王と呼ばれた女傑コーネリアの心が吸い込まれていく。

　船体中央で船長の椅子に座っていた令嬢エステルの肉体に、変身（メタフォルフォーゼ）が始まった。

　長くしなやかな脚に腰高の下半身。腕は細いのに、バストは大きく前に突き出している。かなりのボリュームがあっても丸みがある乳房は、鎖骨のすぐ下から大きくふくらんでいる。

　引き締まったウエストには、筋肉の張りがある。ただし、全身には若々しい大人の女性の色香が漂っている。

　卵型のすっきりとした輪郭の美しい顔立ちの美女コーネリアが、閉じていた長い睫毛の目をゆっくりと開く。

　彼女もオッドアイで、神聖騎士団の九番隊の隊長ルディアナと同じように、左目は紅い瞳をしていた。右目の瞳は美しい空の青色である。

　令嬢エステルの姿の時に身にまとっていた神聖教団の法衣は、変身（メタフォルフォーゼ）によって破れてしまって、女傑コーネリアは船長の椅子から立ち上がると、柔肌にまとわりついた布片を払い落とした。

　船長室でコーネリアは、エルヴィスの衣服で着替えた。

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　マニプーラワールドオンラインには、浮遊する帆船のエルヴィスとコーネリアが登場する。

　そして、船員たちと料理長ベラミィ、神聖教団のアゼルローセとアデラも、マニプーラワールドオンラインの世界で目を覚ました。

　毎日、朝六時になるとサーバーが三十分ほど定時メンテナンスが行われる。

　夜勤のオペレーターさんが、プログラムを朝五時から四十分ぐらいかけてコマンドを入力する。

　するとセットされていた朝六時からメンテナンスプログラムが実行されて、プレイヤー用のNo.１からNo.１０までの全サーバーのアクセス中のプレイヤーに「現在メンテナンス中／２５％　しばらくお待ち下さい」というような画面が表示される。

　ミニキャラの昔風のドット絵の女神代理の天使が、ころころと水晶玉が転がっていくのを、ふよふよ浮いて右から左、左から右と追いかけていく画像はかわいらしい。

「メンテナンス完了しました！　みなさんおはようございます」

　両手に水晶玉をつかんだ天使が微笑む画像とメッセージ欄に、この表示が出ると、シーンが通常画面に切りかわる。

（まあね、朝六時が一番アクセス数が少ない時間ってことなんだろうけど）

　西田貴文は大あくびをして、このメンテナンスが始まる前にデータセーブは済ましておき、定時メンテナンスが始まると、ベッドに寝そべって部屋の明かりを消して眠る。

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　マニプーラワールドオンラインのキャラクターとして生きるか？

　それともプレイヤーとして生きるか？

　どちらが幸せかは、人生に対しての考え方が関係している。

　[預言の水晶玉]というアイテムは、聖戦シャングリ・ラのゲーム世界の物語では、宮廷魔術師の一番弟子の乙女に破壊された。

　それがマニプーラワールドオンラインでは、転生を促す役割を持つ守護天使が所持するアイテムとして登場している。

　マニプーラワールドオンラインのゲーム世界で、女神ノクティスの代わりに、プレイヤーをゲーム世界へ誘う役割を行っている天使の名前――サティーネという神使の大天使が、前世ではサティーヌというエルフ族の三貴姫であり、ミレイユが聖騎士の試練で女神ノクティスに救助された時、すでに昏睡して意識が肉体を離れていたことが関係している。

　女神ノクティスとミレイユの命が一つになった結果、女神ノクティスとミレイユの肉体は融合している。

　前世では、エルフ族の三貴姫のサティーヌであった命は、レッドドラゴンとの戦いで瀕死となったミレイユの肉体と一緒に夢幻の隠世へ渡っている。

　ミレイユに女神ノクティスが英雄の証の剣として、夢幻の隠世から離れてついて来ていなければ、ミレイユは聖騎士の試練に失敗していた。

　心を喪失した魔導人形（ソーサリー・ドール）と同じように、眠り続ける寝たきりの状態で試練を終えていただろう。

　死という摂理を拒絶して生還し、彼女は英雄となった。

　ミレイユの残留プラーナの残る肉体に女神ノクティスが恋に落ちて干渉した結果、回収されていた人間ミレイユのエネルギーから、サティーネというキャラクターが、大天使として大いなる混沌（カオス）から召喚され、夢幻の隠世のなかの、ゲームの世界に現れたのである。

　大天使サティーネはプレイヤーの操作できるキャラクターではないので、ノンプレイヤーキャラクター（NPC）。

　しかし、こうした特殊な事情から、モブの中で一番重要なゲーム世界と現実の世界をつなぐ役割を与えられている。

　聖戦シャングリ・ラのチュートリアルを案内する受付嬢アーヤと、大天使サティーネは、お役目としてはあまり変わりがない。

　プレイヤーが、オリジナルのマイキャラクターのアバターの見た目をカスタマイズして親近感を感じやすくしながら、ゲーム世界へ参加するのをサポートしている。

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　ナーガのお友達のクラーケンは、マニプーラワールドオンラインの世界に召喚されていて、冒険に来たプレイヤーキャラクターにイベントの依頼をするモンスターとして存在している。

　モンスターを経験値稼ぎと所持金稼ぎという名声稼ぎのつもりで討伐しているプレイヤーに、何かおかしいぞと気づかせてくれるノンプレイヤーキャラクター（N P C）となっている。

　クラーケンが呪縛によって封じ込められている海の洞窟（侵入して、一定時間が過ぎると潮が満ちてきて水没してしまう海辺の洞窟）で、水没しないとクラーケンに遭遇できない。隠しイベントの一つに登場する。

　プレイヤーキャラクターたちを、自分の封じ込められている空間へ連れて来て助けてくれるキャラクターである。

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　英雄ミレイユの参謀として共に行動しているマルティナは、こうした特殊なキャラクターと考えることができる。

　ミレイユが摂理に逆らう神の力の宿りし剣で、自らの命を絶つことがないように、かけがいのない心の友としてミレイユと行動している。

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　マニプーラワールドオンラインの大天使サティーネが持つ水晶玉。

　これはボーリングの玉ぐらいの大きさがあるが、大きめの魔石である。

　これもまたオクルスムンディ（世界の眼）でありプレイヤーの生きる現実の世界にチャネリングするチャクラのような役割をしている。

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