夢幻隠世編2
第340話
夢幻の
ドワーフ族の職人たちの心が、鉱石や魔石の結晶となって宿って
細工師ロエルが探し求めているドワーフ族の聖地。
獣人族が子育てして暮らしていた小さな村コタン。
獣人族アルテリスの故郷。
ナーガが以前に、大樹海に潜入して、チョコレートの素材となるが、
この時、エルフ族の王国や世界樹をナーガは発見できていない。
ロカカの実とは卵型の果実で、淡いチョコミントのようなペパーミントグリーンの色に、
特徴は、どの樹に実るのか、実るまではまったく見当がつかないこと。この奇妙な果実は、しなやかな枝の先に釣り下がる。
どうして一つだけ別の実がついているのか、発見した人は、そういうものだと知らなければ、気持ち悪がって、もいでみようとはしないだろう。
また薄皮を剥いて、蜂蜜色の果肉をかじってみることもない。
鳥たちは、ロカカの実をついばんではいけないことを、どんな鳥でも知っている。
地下遺跡が眠る密林の無人島。
海賊ガモウが、エルフ族のセレスティーヌに指定された海域へ航海して一度だけ近づいた地図にはない孤島。
最後の生き残りである一匹のはぐれオークと、ガルドの母親のルーシーが暮らす森に囲まれた美しい澄んだ水の湖。
賢者の石の錬成のために、細工師ロエルがかつてユニコーンと遭遇した森を目指して訪れている。
騎士ガルドの生まれ故郷。
獣人族の住民たちが店を開いている市場が立ち並ぶ大通りと、細工師ロエルの工房と店や雑貨屋などがあるが、宿屋も教会もないルヒャンの街。
獣人族ばかりで、人間が歩いているのがめずらしい。
獣人族の行商人たちは、幌馬車に乗って商品の仕入れに出かけて行く。しかし、エルフェン帝国の帝都周辺の中原では、獣人族の行商人たちの姿はまったく見かけることができない。
女神ノクティスの豪華な邸宅と周辺の岩山や、鬱蒼とした常緑樹林の森。険しい岩山の上に昇る月が、女神ノクティスの邸宅を照らしている。
聖騎士の試練でダンジョン内でレッド・ドラコンを討伐した美貌の女騎士ミレイユが、この豪華な邸宅に救助された。
聖騎士の試練が行われているダンジョン下層階へと通じる扉の先が、女神ノクティスの邸宅内へとつながっていた。
森を抜け四日ほどそのまま森を背に旅をすれば、アスタロトという名前の公爵の領地に到着するということを、女神ノクティスはこの時、ミレイユに地図を見せながら説明している。
三人の美しいメイドたちが常駐しているが、三人とも顔立ちや背丈、声までそっくりである。
女神ノクティスが手を叩いて室内に呼びつけた時に、三人のメイドのうち誰が部屋に来たのか、女神ノクティスしか見分けることができない。
時の番神アテュトートの飛来する領域は、いつも漆黒の闇に包まれている。
周囲の物や景色まで描かれている紙が破かれたように、または陶器の皿が砕け散るように音も無く降り注ぐと、その向こう側は漆黒の闇。
無音の中で視界は闇だけしか見えない状況に、時間の感覚や平行感覚が麻痺してくる。
体が起き上がっているようなふわふわと頼りない感覚と
偽りの
また、冥界として魔獣の王が君臨している領域がある。
バイコーンの故郷やマーオが高原でふわりふわりと遊んでいる隠世もあるだろう。
肉体に循環するプラーナがチャクラを巡り、それぞれのチャクラがまるで共鳴し合い、花の蕾が開くように肉体に感情や感覚を広げていく。夢幻の隠世は、まるでチャクラのようにある。
エルヴィス号は、光の届かない深海へ降りていく。
隠世の海。そして深海の暗闇。
海賊ガモウの帆船に宿っているのは、ガモウの伴侶で神聖騎士団の九番隊の隊長ルディアナの母親ロレーヌの心である。
羊の乳酒を飲んで、令嬢エステルの姿のナーガは、空きの船員用の船室のハンモックでぐっすりと眠っている。
エルヴィスは、船長以外は扉が閉ざされる操舵室の椅子に背をあずけて、眠り込んでいる。
深海の暗闇を、エルヴィス号に宿っている女海賊コーネリアの心が乗船している者たちを護りながら、さらに潜水してゆく。
女海賊コーネリア――英雄ゼルキスの恋人。英雄ゼルキスの子を宿し、東の海のある故郷へ帰ったあとは、英雄ゼルキスの子をシャーアンの王へと育て上げた。勇敢なる女傑であった。
エルヴィスは、英雄ゼルキスと女海賊コーネリアの子孫である。
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