第21話
貴族令嬢カレンが、新しいポーション研究の実験体にされてしまう。
その時、カレンと一緒にいた宰相エリザが拉致される。
冒険者ミュールとバトゥが情報屋リーサと一緒に、冒険者ギルドの受付嬢アーヤから、宰相エリザ救出の緊急依頼を受ける。
3人は実験が行われているダンジョンに乗り込んで、悪役の学者デュランと対決する。
これが【聖戦シャングリ・ラ】で、用意されていた本来のエピソードだった。
18禁オンラインゲームの【聖戦シャングリ・ラ】では、貴族令嬢カレンは、貴族階級の双子の冒険者の兄弟ガークとマークを従えている悪徳令嬢。
貴族の子息である双子の兄弟ガークとマークは、冒険者ミュールを騙して可哀想な目に合わせる。
さらに、悪役の学者デュランと協力して、令嬢カレンを裏切る。
冒険者ミュールが無惨な姿でダンジョンに放置されていたのを、初めてダンジョン探索に挑んでいたバトゥが発見する。
ミュールをバトゥは、回復ポーションで治療する。
これが本来のエピソードにおける二人の出会いとなっている。
ガークとマークは、リリアとコレアという双子の姉妹になった。
ダンジョンの魔獣に遭遇し、ミュールをおとりにして、姉妹だけで逃げようとして喰われている。
学者のデュラン。禁忌とされている媚薬ポーションを作成して、他人を依存させて思うように従えようと企んだ。
悪役のデュランは、神聖教団の学者のテスという敬虔な女神ラーナを信仰する女性に変わった。
3人の悪漢――学者デュラン、双子のガークとマーク。
ありがちな展開で登場する悪役の登場人物たち。
そんな悪役たちに虐げられるヒロインたちの物語の世界。
生々しくて想像するほどキツイ描写を、転生前のエリザはありがちな展開とはいえ、嫌だと思っていた。
スキップ機能でそういうシーンは飛ばして、ストーリーモードを攻略していた。
冒険者ミュールや悪徳令嬢カレンが可哀想な目にあう胸糞悪い展開があって、救済に来る登場人物たちが悪役を殺害する復讐が、正義のように描かれる。
原案者のマンガ家メイプルシロップこと緒川翠は、スポンサーからの要望で、ヒロインたちをご都合主義で可哀想な目に合わすのは気に食わないと思っていた。
自分の作品のヒロインたちの救済ルートを、ゲームプロデューサーの岡田昴に無理を言って、自分の嗜好に合わせた百合展開の隠しルートとして用意していた。
この【聖戦シャングリ・ラ】には、隠しキャラクターと隠しルートが存在している。
AVメーカーのサンダースというスポンサーからの要望を聞き入れて作られている、ダークファンタジーのエピソードルート。
ヒロインたちにすれば涙目なエピソードルートは、18禁のシーンを見たいプレイヤー向け。
この涙目ルートだけだったら、女性ファンはすぐに離れてしまったと思われる。
岡田昴が作ったカードゲームとタクティクスシミュレーションゲームと育成ゲームが合わさったような本格的なゲームだった。
ゲームに遊び慣れていない女性たちには、慣れてくるまでゲームのルールを覚えるのも、なかなか大変なのだった。
隠しキャラクターの裏ルートのほうはダークファンタジーというよりも、女性たちの恋愛がメインの展開となっている。
こちらは原案者の本領発揮といったところ。気合いの入りかたがまったくちがう。
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