死のお話と孤独の夜
夕雨 夏杞
A story of death and lonely night
私がまだ小さいとき
たぶん幼稚園か小学校低学年くらい
家族で川の字になって寝ていた
その日は父と私が先に布団に入ってお話してた
どんなきっかけでそういう話題になったか
もう忘れてしまったけれど
みんないつか死んでしまう
そう聞かされた
幼いなりに色々考えたんだと思う
私は拒絶を示した
父と母が私を置いていなくなってしまうことに
それでも父は、
いつかは死んでしまうと言った
私は否定してほしかった
いなくならないと言ってほしかった
頭の片隅では理解している
けれど決して掴むことのできない
死という曖昧で絶対的な存在に怯えていた
私はどうにかして
父にずっと一緒にいると言わせたかった
その夜、私はとてつもない不安に襲われた
布団をかぶって丸くなって震えていた
まるで深い深い水底に沈んでいくような
宇宙にぽつんと独り取り残されたような
そんな静かな恐怖だった
死のお話と孤独の夜 夕雨 夏杞 @yuusame_natuki
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