第10話 孫のキャシー
陣の暗殺をギーレモ公爵の妻アミーニョに依頼された伝説の暗殺者。その名はゼルベルト・ランドーラ。40年以上も前に引退したこの男が髪も白くなっている今になって暗殺者業に復帰したのはたった一人の肉親の孫が病気となったため。
この病気を治すには多額のお金がかかる。そのお金を稼ぐためにゼルベルトは伝説の暗殺者に復帰した。
依頼を受けた夜。ゼルベルトは孫が眠る部屋へと入る。そこにはベッドに眠っている小学校低学年ほどの女の子が。
「・・・キャシー・・・」
眠っている女の子はキャシー・ランドーラ。病気で両親を亡くしキャシー自身も病気となって命ももう長くない。
眠っているキャシーの頭を撫でるゼルベルト。
「・・・もう少しだからね・・・お爺ちゃんが何とかするからね・・・」
そうして部屋を出て行こうとして立ち上がったゼルベルト。だが、キャシーが目を覚ました。
「んん・・・お爺ちゃん?・・・どこか行くの?」
不安そうな表情にてそう言うキャシー。
「大丈夫だよ。お爺ちゃんはどこにもいかない・・・約束しただろう?」
ゼルベルトが孫のキャシーの両親が死んだときにした約束。
*****
【ぐすっ・・・ぐすっ・・・】
両親が死に泣いているキャシー。そこへゼルベルトがやってくる。
【キャシー!?】
その声で泣いていたキャシーはやってきたゼルベルトの方へ走っていきしがみつき泣きじゃくる。
【お爺ちゃん!?パパとママが!?パパとママが!?・・・うえ~ん!?うえ~ん!?】
【・・・大丈夫だよキャシー・・・お爺ちゃんがキャシーを1人にはしないよ・・・】
これがゼルベルトが孫のキャシーにした約束だった。
*****
それを思い出したのか少し安心した様子となるキャシー。
「・・・ねえお爺ちゃん?手、繋いでもいい?」
「もちろんだとも・・・キャシーが寝るまで一緒にいてあげるよ・・・」
「お爺ちゃん・・・おやすみなさい・・・」
「ああ・・・おやすみ・・・キャシー・・・」
そうして完全にキャシーが寝たのを確認してゼルベルトはキャシーのお爺ちゃんから伝説の暗殺者へと変わる。
「
この
「・・・ここですか・・・確かに見たことのない家屋ですね・・・しかし・・・やはり普通の家屋ではない・・・」
ゼルベルトは誰もが感じ取れなかった通常ではない家の気配を感じ取っていた。
「・・・キャシー・・・」
少し悩んだゼルベルト。いくら孫のためとはいえあんなまだ十代のような男の子を殺してしまってもいいのか・・・だがゼルベルトはキャシーが頭に浮かぶ。可愛く元気なキャシー・・・
ゼルベルトは覚悟を決める。
「・・・行かせていただきます・・・死を運びに・・・」
そしてゼルベルトは
*****
自身に死が運ばれそうになっているとも知らない陣は静かに眠っていた。
「スー・・・スー・・・」
ゆさゆさ。ゆさゆさ
そんな眠っている陣を揺らして起こそうとしているリン。
「んん~・・・なんだよリン~・・・」
目を擦りながら起きる陣。
『マスター侵入者です』
「・・・え!?侵入者!?ど!?どこ!?どこに!?」
『今現在は1階にて私が対処していますがこの人間はおそらくマスターと同じく至高ランクのスキルを持った者かと』
「至高ランク!?それってリンと同じ!?」
『是。ですのでマスターは地下にて隠れていてください』
そう言って陣はベッドに沈んでいく。
「うわあああ!?」
滑り台のように移動しながら次の瞬間には地下の1つの部屋に到着していた。
ドン
「いててて・・・こんなこと出来たんだ・・・て!?そうじゃなくて!?大丈夫なのリン!?相手は今までと違うみたいだけど!?」
『是。ご安心を。マスターの家スキルは最強のスキルであると証明して見せます』
「・・・なんだかやる気満々?・・・」
こうして陣は地下にて避難してリンの報告を待った。
*****
少し前
ゼルベルトは
「・・・・」
近くから陣の眠っている2階の部屋を見つめているゼルベルト。どうやらゼルベルトには誰がどこにいるかがなんとなく分かるようだ。これも至高ランク闇殺スキルの影響だろう。
ターゲットの場所を確認したゼルベルトは1階の壁に近づいていく。
「
ここに至高ランク
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