第6話 新たなスキルと家の名前
数日後
「・・・う~ん・・・」
悩み中の陣。現在はお昼。一体何に悩んでいるのか?
「漫画とかゲームも楽しいんだけど・・・何か別の事をやりたいな〜・・・」
前世の地球においてブラックすぎる会社で働いた結果、車に轢かれて死亡した陣。そういう事もあり引きこもりたいと考えて漫画やゲームを楽しんでいたのだが、ここで陣はなにか別の事をやりたくなった。
「う〜ん・・・なにかないかな?」
家の中を探し始める陣。さすがに外に出て何かをする気にはならないので家の中で出来ることを探している。
「お?画用紙か・・・久しぶりに絵でも描いてみるか」
実は子供の頃は絵を描くのが好きだった陣は画用紙を見つけたのもあり久しぶりに描きたくなって来たのだった。
「何を描こうか?」
悩みながらもペンは進む。まずは動物を描く事に決めたようだ。
カキカキカキカキ
「よし!完成だ!・・・久しぶりにしてはいい出来なんじゃ無いか?」
犬を描いた陣。その絵の出来は特別に上手いというわけでもなく下手でも無い中の上と言った感じ。
その後も他の動物や部屋の中を描いていく陣。すると数十分後。
ピコン♪
【絵画スキル(下位)を会得しました】
突然そう声が聞こえて来た。
「え?絵画スキル?・・・それってまさか・・・ステータスオープン!」
最初以降は開いていなかったステータスを開く陣。
_______
-紅林陣-
年齢:17歳
性別:男性
種族:人間
スキル:家(至高)・絵画(下位)new
称号:異界者・限界を迎えし者
_______
絵画:人よりも絵を描くのが上手くなる。
陣のステータスがには以前は無かった絵画というスキルが新しく書かれていた。
「スキルが一つ増えてる。何回か絵を描いていたからスキルが増えたのか」
そこで再び絵を描いてみた陣。すると、スキルを獲得する前よりもどういう風に描けばもっとうまく描けるのかが理解できるようになってきた。
「すごいなスキルって・・・まるでプロみたいだ・・・」
自分の絵の上手さに感激している陣。
「そうだ!だったら他も試せば何かスキルが手に入るかもしれない!」
そう言って思い立ったが吉日。すぐに思いつく限りの動きを試すことに。包丁を素振りしてみたり正拳突きをやってみたり足音を立てずに歩いてみたりetc
「はあ・・・はあ・・・はあ・・・まったく・・・はあ・・・はあ・・・手に入らない・・・はあ・・・」
疲れが溜まったのみで試した数々の行動では一切スキルが手に入らない陣。
「なら今度は!」
少し落胆したものの次は瞑想を始める陣。どうやら魔法を使うために内なる魔力を探しているらしい。
数分十数分と時間だけが過ぎていき一向に魔力らしきものは手に入らない。
「・・・もういいや・・・俺は引きこもっていれば安全なんだから・・・」
諦めたのか陣はそう言って画用紙を手に持ち絵描きの再開。
カキカキカキカキ
犬や猫などの動物や地下の倉庫にいるレーザーオーガ。さらには数日前の騎士の人たちを書いていく陣。
「・・・どうせだったら外の景色も描くか・・・」
そう言って窓から見える近くの海の風景を描く陣。
「そうだ!どうせだったら!」
描いている途中でなにかを思いついた様子の陣。
カキカキカキカキ
「・・・出来た!リン!どうかなこれ?」
そう言ってなんとなく天井に向かって画用紙を向ける陣。リンは家なので天井に向けなくても把握できる。
『どう、とは?どういう事でしょか?』
陣がリンに見せた絵には海辺で笑顔の1人の女の子が立っている姿。
「この女の子はリンをイメージして描いてみたんだ」
『私をですか?』
「そう。まあリンは喋らないしそもそも人じゃないから感情も無いってことも分かってるけど、それにしては文章の端々にリンの感情を垣間見える気がするんだ。この女の子はそんなリンをイメージして描いてみた」
『・・・ですが私は人化も出来ません。マスターのご要望であろうともその人間になることはできません・・・申し訳ございません・・・』
「・・・やっぱりリンには感情があるんじゃないかな?そんな気がする・・・」
『否。私はスキルの一部にすぎません・・・感情があるように見えてもそれは感情ではありません・・・』
「リンはそれでいいよ。それでも俺はいつの日かリンに会える・・・そんな気がする・・・」
*****
数日前
陣から解放されたギーレモ領の騎士たるジーノたちは現在ギーレモ領の領主ギーレモ公爵の部屋にて報告をしている。
「・・・以上が報告になります・・・」
ジーノが一歩前に出て後ろには3人がいる。そしてジーノが任務の報告をしていた。
「・・・それはつまり我輩のモノである領地に勝手に家を建てた犯罪者はいまだにのうのうと暮らしておる、そういう事か・・・」
「・・・・」
なにも返さないジーノ。
「ふざけるな!貴様それでも騎士隊長か!」
ガシャーン!
物をぶちまけジーノに怒りをぶつけるギーレモ公爵。
「今すぐ全軍用意せよ!我輩のモノに手を出す輩は我輩自らの手で八つ裂きにしてくれる!」
ジーノの奇妙な家の報告を受けてもなお家への脅威ではなく自身のモノに勝手に手を出した犯罪者が今も生きて暮らしているという解釈しかできない欲深なギーレモ公爵。
数日の軍の編成を終え陣の家へと向かって約10万規模の騎士の侵攻が開始された。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます