第5話 騎士たちの処遇
「ふわぁ~・・・リーン・・・今日は何もなかった~?・・・」
翌昼に起きた陣。魔物が来て以降最近は起きればリンにそう寝ている間の出来事を聞いていた。
だが、2.3日なにもなかったので今回も何もないだろうと思って聞いていたが予想外の返答がリンから帰ってきた。
『否。侵入者が現れましたので地下の部屋にて監禁しております』
その言葉をボードにて確認した陣。少し固まった。
「・・・え?侵入者?・・・それってまた魔物?」
『否。人間です。故に殺さずに生け捕りにいたしました』
「生け捕りって・・・その人たちって危険な人たちかな?会いに行ってみたいんだけど?」
『是。問題ありません。何があろうともお守りいたします』
「ありがとう。それじゃあ・・・何か食べてから行こうか」
そうして陣は昼食を食べて侵入者として囚われているジーノたちのもとへ。
コツコツコツ
「・・・初めての異世界人か・・・ちょっと緊張するな・・・と、いうか言葉って通用するのかな?・・・」
緊張しながらも地下を降り侵入者のもとまで行く陣。すると、本当に人が収容されていた。
囚われているジーノたちは一ヶ所に収容されており突如やってきた陣を警戒するかのようにそれぞれの武器を手に持ち警戒する。
「え~と・・・はじめまして・・・紅林陣です・・・」
一応自己紹介から始める陣。言葉が通じるのかも分からないし相手は家に侵入してきた奴ら。どんなことをしてくるか分からずに緊張していた。
しかしジーノたちの方はやってきた男の佇まいや喋りを聞いて予想に反して普通過ぎる陣に困惑。
陣の方も返答がないので言葉が通じていないのではと困惑。すると、騎士隊長のジーノが沈黙を破り自己紹介で返した。
「・・・私はジーノ・ワバルカ。ここバングル王国ギーレモ領の騎士隊長をやっている者だ・・・」
そう声を理解できてうれしい陣と隊長が自己紹介したのなら自分もと自己紹介をする3人。
「俺はレイダー・サイスター。隊長と同じくギーレモ領の騎士だ」
「私はメ―チャイ・ヤコボス。隊長やレイダーと同じくギーレモ領の騎士です」
「お!?俺は!?ゲイナー・スーセイ!最近騎士になったっす!」
お互いの自己紹介が終わると今度はお互い気になることを聞く質問タイム。
「ではジーノさん。どうしてあなたは俺の家に侵入してきたんですか?」
「・・・それでは昨夜の声は聞こえてなかったのか?」
「声?」
ジーノは昨夜のレイダーの大声が陣に聞こえていなかったと判明し驚愕。それは他の3人も同様。
「マジかよ・・・俺のあの声が聞こえなかったってのか・・・」
「・・・あえて招くために黙っていたのではなく聞こえていなかったとは・・・」
「いやいや!?こいつが嘘をついている可能性もあるっすよ!?」
ゲイナー以外の3人は陣の言葉を信じたがゲイナーのみは陣の言葉を疑った。
「いや聞こえていたのに聞こえなかったと嘘ついてもなんのメリットも無い。故に嘘の可能性は低いだろう」
「それは・・・確かに・・・そうっすね・・・」
ジーノの説明から納得したゲイナー。そして陣の疑問にはメ―チャイが答えた。
「我々の任務はギーレモ領にて誰の許可もなく不当に家屋を建築した者の排除と家の破壊です・・・身に覚えはありますか?」
メ―チャイが囚われながらも強気に出る。それは陣に敵意が無いというのを感じ取ったのと家は不気味だが陣本人は戦いの素人だろうという事。
詰められた陣はメ―チャイの言い分を理解した。
「ああ・・・なるほど・・・それもそうですよねぇ~・・・」
突然自身の領地内に誰も知らない家屋が建てば不審に思うのは当たり前でジーノたちはただ真っ当な任務をしているに過ぎない。悪いのは自身だと理解した陣はリンに質問をした。
「リン?この家って移動できる?」
周りには誰もいないにも関わらず突然の誰かへの質問に意味が分からない4人。しかしその次の瞬間壁から文字が浮かんできた。
「か!?壁から文字が出てきたっす!?」
「・・・やっぱりここは家の魔物の中なのか?」
「壁が動き床に沈み・・・本当に分からない家ですね・・・」
それぞれが話し出す3人。
「お前ら黙っていろ・・・すまない紅林くん・・・」
「い、いえ別に・・・」
隊長が3人を
そしてリンから陣への返答にはこう書かれていた。
『否。家の引っ越しは不可能です。私は動くことはできません』
どうやら別の誰のモノでもない地域に行こうという陣の作戦は不可能となった。
「・・・そうか・・・無理なのか・・・すいませんジーノさん・・・ここから動くことは無理のようです・・・」
「そうか・・・ならば紅林くんはどうする?我々の帰りが遅れれば別の隊が送り込まれるぞ?私はこれでも騎士隊長だ。ギーレモ公爵様に進言出来るが?」
なんとか生きるために陣と交渉を試みるジーノ。
「・・・わかりました・・・」
悩んだ結果、陣は4人を釈放することに。
『よろしかったのですか?あの男の言葉を領主が受け入れるとも限りませんが?』
「・・・賢い領主なら俺とは敵対してこないと思う・・・でも欲深くバカな領主なら今度は軍で攻めてくるかもしれないな・・・」
『なにかお考えが?』
「いいや?引きこもっていればリンが守ってくれて安全だし、いつか諦めるんじゃないかな?って思って」
陣はそう楽観的に言った。
『是。お任せください。誰にもマスターの日常を破壊させません』
こうして欲深くバカなギーレモ公爵と敵対することになった陣だった。
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