第4話 バングル王国ギーレモ領の騎士
「ほっ!おりゃっ!なにっ!?そう来るか!?ああ!?待って待って!?」
ドーン
【勝者リン】
それはテレビの画面。現在陣とリンで格闘ゲームをしていた。リンは床から手を出してコントローラーを操作。そして意外にもリンはゲームが強かった。
「ああ・・・また負けた。リンは強いな〜・・・」
『ありがとうございます』
お礼を言うリン。時刻は夜。
「じゃあもうそろそろ寝ようかな?おやすみリン」
『おやすみなさいませマスター』
そう言って陣は就寝する。外には家に訪問者がやって来ているとも知らずに。
*****
夜。陣が寝た後にやってきたバングル王国ギーレモ領の騎士たち。
「・・・確かにあまり見ない家だな・・・」
「玄関はあれっすよね?」
「だろうな。いくぞ」
玄関までやってきてドアをノック。
コンコン
「・・・出て来ませんね?寝ているのでしょうか?」
「もう夜だもんな〜・・・どうします?隊長?」
「・・・我々の任務は不法建築の家を破壊してここに住む者を排除すること。もちろん寝ているのなら起こすまでだ。レイダー頼む」
「了解です隊長」
レイダーと呼ばれた男から3人は少し下がり耳を塞ぐ。
「すぅー・・・ここは!!ギーレモ領である!!ギーレモ公爵の許しなく!!家屋の建築は不法である!!中にいる者は出て来られよ!!」
そうとてつもない大きな声で言ったレイダー。彼は大声スキル(下位)を持ち人よりも大声を上げる事が出来る。マイクや拡声器などよりも大きな声を上げたレイダー。
それを理解している他の3人はレイダーから距離を取り耳を塞いでいる。
「うお〜!?相変わらず凄いっすねぇ!?レイダーさんの大声スキル!?」
「これだけの声量はさすがに聞こえているでしょう・・・相手はどう出て来るでしょうか?」
「もし出て来ないのであれば扉を破壊し中に突入するまでだ」
そんなレイダーの大声を受けた陣はと言えば。
「スー・・・スー・・・」
何にも聞こえてないかのようにぐっすりと眠っていた。
当然リンがマスターの陣の就寝の邪魔となる大声をシャットダウンしない訳もなく中には一切通っていなかった。
「・・・出てくる気配無いですね・・・どうします?隊長?」
大声スキルで大声を出したレイダーが振り返り隊長に指示を仰ぐ。
「そうだな・・・出てくるつもりが無いのなら出てこざるおえないようにするまでだ・・・メ―チャイ頼むぞ」
「了解しました。隊長」
メ―チャイと呼ばれた女性の騎士がレイダーと入れ替わりで前に出る。
「・・・では行きます・・・フレイムホーク!」
メ―チャイは家に向かって両手の手の平を向けてそう言った。するとメ―チャイの両手から鳥の形をした炎が家のリンに向かって飛び立った。
「おお!さすがはメ―チャイさんっすね!あのフレイムホークを放つなんて!」
「メ―チャイは魔法の才能があるからな」
「でもフレイムホークはやり過ぎの気も」
ズドン!
レイダーが最後に言い終わる前に家にフレイムホークが当たった。それにより大きな炎が上がり煙も上がったが家にはなんの問題も無かった。
この世界の魔法は総称である。下位スキルが魔術で中位スキルが魔技。上位スキルが魔導で至高スキルは魔極となる。
メ―チャイの放ったフレイムホークは中位スキルの魔技の魔法。まだ若い年齢のメ―チャイが魔技の中でも威力が大きく難しいとされているフレイムホークを放ったのは見事なことだが、ランク8のレーザーオーガのレーザーでさえもものともしなかった家が中位スキルの攻撃でダメージを負うわけも無かった。
「・・・そんな・・・私の魔法が・・・」
まったく効果を発揮していないと分かったメ―チャイは呆然となった。
「これは・・・なんて頑丈なんだ・・・」
「うっそだろ!?メ―チャイさんのフレイムホークを喰らって!?
「・・・隊長・・・どうします?」
レイダーに聞かれた隊長。その問いによりメ―チャイと新人騎士のゲイナーも隊長のジーノのほうを向く。
「・・・魔法がだめならば物理だ。メ―チャイは下がって援護・・・いくぞゲイナー、レイダー・・・」
「「「ハッ!」」」
そうして4人は歩き出す。今度は持っている武器で家を破壊するために。しかしその時煩わしいと思ったのかリンが家の玄関を開けた。
「隊長!玄関らしき扉が開いたっす!」
「・・・だれも出てくる様子が無いという事は・・・レイダー、メ―チャイ、ゲイナー。最大限の経過に当たれ・・・」
「「「ハッ!」」」
4人は最大限に警戒しながら開かれた玄関扉から家の中へと入っていく。
パタン
扉がひとりでに閉じられる。さらに家の中は真っ暗で普通ならばなにも見えない状態。
「・・・扉を閉め真っ暗にしたか・・・舐めるな!我々バングル王国の騎士は皆が暗視スキルを所持している!そのようなところで遅れはとらん!」
隊長のジーノがそう声を荒げる。しかしその声にこたえる者は誰もいない。部下の騎士の声さえ聞こえない。
「レイダー!?メ―チャイ!?ゲイナー!?」
事ここに至って初めて後ろについて来ていたはずの部下がいないことに気が付いた。
「・・・一体何が起こって!?」
ダッ!
ジーノはなにかを察知したのかその場からジャンプで別の場所へ着地。
「今・・・床が・・・一体この家はなんなんっ!?」
ダン!
「ガハッ!?」
他の騎士と同様に床からジーノを地下の部屋へと連行しようとしたリンだったがそれはジーノに阻止された。しかしならばとリンは壁を伸ばして上位スキルの剣聖を持ち騎士隊長のジーノが察知できない程の速さにて後ろから殴打。
地面に叩きつけられるジーノは他の騎士たちと同様、地下に連行された。
こうしてまたしても陣がなにも知らないところで事は起こった。
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