第23話 今後(魔王視点)
執務室に戻ると妃が苦笑いをしながら私を迎えた。
「……脅しすぎじゃない?」
何やってるの、というような口調だ。今日の執務は終わったから、レイカは故郷の言葉でフランクに話している。
レイカは先ほどまで、私の『交渉』を魔道具を通して見守ってくれていたので私が何を言ったのかは知られている。
「もう一押しという雰囲気だったからな。優しく言っても聞かないだろう。ああいう場合」
「いや、でも限度ってもんがさぁ……。もし、ウティレが追い詰められてオイヴァに何かしてきたらどうするの?」
「あの男はそこまで愚かじゃない。今までの行動を見ていれば分かる」
そうなの? というようにレイカが小首を傾げる。私は小さく笑って妃の頭を撫でた。
「それより、本当にウティレに剣を触れさせる気はないんでしょ?」
レイカの言葉に頷く。そこまで残酷な事は考えていない。
ただ、まだ完全に信用出来るわけではない。だからこそ、今回軽く脅して逆らえないようにしておいた。
それに、ウティレの動きから見るに、彼はレイカに接触したがっているように感じた。だったら少しきつくても押さえておいたほうがいい。でなければ危険すぎてレイカと関わらせる事など出来ない。
「それに、そろそろ牢から出さないいけないだろうし」
「ああ、勇者が来るから?」
レイカの質問にまた頷いた。
ヴィシュの様子は基本的に隠密を通して探らせている。そこで、召喚の用意をしていると情報が入ったのだ。
ウティレはいろいろ情報を得たがっているように見えたし、だったら実際に現実を見せた方がいい。その方が手っ取り早い。
そこで自分のこれからについてもきちんと考えてくれればいいと思う。
それは私達のためにもなるし、ウティレのためにもなる。
言質は取っておいたから、ウティレも牢から出ることになるだろう。計画通りに行けば、だが。
「オイヴァ、何か企んでる?」
レイカが訝しげに尋ねてくる。私は悪戯っぽく笑ってそれに答えた。
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