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部署のランチ会だった。場所はカジュアルなイタリアンレストラン。ビルのなかだけれど、明るい内装で開放感のある店だった。
部長は、このメンバーなら女性ばかりだから気楽だと言ってよく誘ってくる。奢ってもらえるし、部長の選ぶお店はいつもセンスがいい。でも、笑顔でなごやかに雑談しながらお昼を食べるのは結構疲れる。
最年少のMちゃんは今日もみんなから可愛がられていた。にこにこと感じよく、朗らかな声で応える彼女に構いたくならない人は珍しいだろう。
彼女のように人から求められてみたいと思うことはあるけれど、私には耐えられない可能性が高いとも思う。
優秀でもなく、悪目立ちするほど不出来でもなく、透明になって楽をしている。愛想はほどほどに、陰口を叩かれない程度に距離をとって。
Mちゃんの内心はわからない。けれど、私は彼女のような目立つ人の陰で息を潜めているわけで、彼女の強さに寄りかかっている自覚を持つべきなのかもしれなかった。
鶏のラグーソースのスパゲティは案外素朴な味で、油もたっぷり使っているだろうにすんなり食べられた。挽肉だから食べやすいのもあるだろうか。
デザートの苺のジェラートは冷たさも、甘酸っぱさも舌に嬉しかった。
おっくうだな、と出ていったのに、食事は十全に楽しんでいるあたりが私、なんだろうな。
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