第14話 メイク・アップ
夏。
「カラースプレーするか?」
今日は、三夜の所属するバンド『
「いい。サヤ兄より目立ちたくない」
七那は鏡に映る自分から目を
三夜の髪は黒だが長め、七那は高校の校則すれすれの長さの短髪・黒髪である。しかし、それでも色を付けたら、三夜より目立つと思うのであった。
「俺ぁ十分目立つよ。編み込み入れてるし、ピアスも」
三夜は自分の顔を鏡に映して、左側頭部や耳を指差す。『
「よし、ちょっと立ってみ」
顔と髪のメイクが終わったら、
「ん、いいね」
七那は三夜に似てか、この
「サヤ兄より目立つ」
七那は、鏡に映る自分の爪先の辺りを見つめて、ぼそぼそと言う。三夜は現場でメイクの仕上げをするのだが、七那はその後でもきっと、自分の方が目立ってしまうと思うのであった。
「結婚式じゃねえんだから、似合ってればいいの。楽しければいいの。な?」
三夜は七那の細い肩を持って、鏡のこちら側の七那の顔を覗き込む。
七那は、間違いなく大好きな笑顔を直に見て、すぐに目を逸らす。
三夜は、七那が一生かけても届かない所にいるのに、七那に
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます