吸血鬼の僕はクラスのマドンナの所有物

@umisann

第1話いろいろなんで?

突然だけど僕 八里 霧は吸血鬼だ。

鏡に僕は映らないし、にんにくは嫌い。

普通の食べ物も食べないことはないが主食は血。17歳の時に吸血鬼になってそれから容姿は変化していない。


訳あって10年ほど国に捕まっていたけど多分ここ数年は何も悪いことはしていない。

・・・・・・はずなんだけどなぁ。


「・・・・・・なんで僕は捕まってるんですかね?」

「えっとねー、面白そうだから。」

「えぇ・・・・・・。」


僕は現在進行形で教室の椅子にロープで縛られている。結構キツく縛られていて体がぎゅうぎゅう締め付けられている。

縛った相手は同じクラスの美梨 はいらという名前の美少女。

金髪ウルフカットで緑色の目。いかにも男受けしそうな顔立ち。スタイルもよく、自分のクラスだけでなく他クラスからも人気が高い。


しかも性格は優しくて誰にでも気さくに話しかけてくれる完璧美少女・・・・・・だと思っていたんだけどなぁ。


教室に入って来たはいらさんに血を飲もうとしている瞬間を見られて言い訳しようとした瞬間、

すごい笑顔で近づいてきて、なぜかはいらさんはカバンからロープを取り出して縛ってきた。 


抵抗すればいいと思うが、クラスの美少女に僕が吸血鬼とバレそうという心境が対応を遅らせた。

しかもはいらさんは妙に手慣れていた。何人もの人を縛ってきたみたいに。  


「なんで黙ってるんですか?なにかいってくれないとめっちゃ怖いんですけど。」

さっきからはいらさんは僕の前で屈みながら黙っている。しっかりと僕の目を見てくる。可愛いより怖いが勝つ。


「霧君が何者なのか考えてたの。」 

「・・・・・・今のところなんだと思ってます?」


血を飲もうとしていたという時点でやばいが、まだ吸血鬼と確定したわけではないはずだ。

これからの対応でまだなんとかなるはず・・・・・・!!


「うーん・・・・・・吸血鬼とか?」


ご名答です。だがここで認めるわけにもいかない。バレたら色々とめんどくさいんだ。


「ハハハ、面白いこと言いますね。でも残念ながら違いますよ。実は僕、貧血なんです。だから定期的に血を飲んでるんですよ。すいませんね、変な勘違いさせてしまって。」

「・・・・・・本当に?」

「・・・・・・はい。」


はいらさんはニヤッと笑ってバッグを弄り出す。そして手鏡を取り出した。


はいらさんは手鏡を持ちながら僕の真横に来て手鏡で僕らを写す。だが・・・・・・残念ながらそこに僕はいない。はいらさんの顔だけが写っている。


「ちなみに貧血でも流石に血は直接飲まないよ。」

「オーバーキルですねぇ。」


鏡に映るはいらさんは自慢げに微笑んでいる。

鏡に映らないからわからないが、多分今僕は絶望した顔をしている。


はいらさんはちなみにといって手鏡をカバンに戻す。


「霧君、体育がある日学校来てないでしょ?」

「そっすね。日光浴びたら燃えるので。」

「やっぱりそうなんだ。でも体育ある日以外はちゃんと来てるよね。どうしてるの?」

「夜に学校に来てそのまま待機してます。」

「ハハハ。面白いね。」


どこかだ。こっちは授業中眠すぎて困ってんだ。・・・・・・ていうかそろそろ。


「血が飲みたい。」

「えっ?」

「非常にずうずうしいんですが、僕のカバンから血の入った瓶をとってください。探したらすぐ見つかるはずです。」

「もしかしてやばい?」

「けっこうやばいです。」


はいらさんの前だから冷静ぶってるがマジでやばい。

1ヶ月は血を飲んでないんだ。このままじゃ理性が持たない。

ロープを破ることもできるが、もしここに第三者がいた場合非常にめんどくさくなる。できれば避けたい。


「はっ、はやく。もうやばいです・・・・・・!!」


呼吸が乱れてきた。まずい。 


「ふふ。そんなに欲しいの・・・・・・?」

僕のカバンから血を取り出して堂々と見せつけてくる。

「欲しい!!」


思わず前屈みになってしまう。

はやく・・・・・・!!

僕がロープを引きちぎって君を襲う前に・・・・・・!!


はいらさんは不適な笑顔で瓶を宙に投げる。


「なっ、なにしてるんだ!!」


血のストックはもうない。この瓶が無駄になるのは死に直結する。


僕はロープを引きちぎり、瓶が落ちる前に拾おうとする。

この際、第三者を気にしている場合じゃない!

死ぬ方が嫌だ!


「えっ?」


パリンという音と共に綺麗な足が僕の顔を横切る。そして液体が数滴顔にかかる。


顔にかかったのが血と確認して思考が停止する。


「足が滑っちゃった♡」


はいらさんはとてつもない速さで宙に浮いた瓶を蹴ったのだ。吸血鬼の僕が反応できない速さで。


「・・・・・・いや・・・・・・なんかもう言葉が出ない。」

「ごめんね?」

あざといポーズで謝ってくる。

「・・・・・・まぁいいや。てか・・・もう・・・・・・や、やばい。」


僕は倒れ込む。ことは深刻だ。このままじゃ理性が保てなくなってはいらさんを襲ってしまう。はいらさんに今から逃げてもらってもこの近くにいる人間を襲ってしまう。


「だ、大丈夫?もしかして私結構やばいことしちゃった?」


だいぶやばいんだよ!!

あぁもう頭が回らない。血が・・・・・・血が欲しい。


「いいよ。私の血を吸って。」

「は?」  

「いいけど、そのかわりぃ・・・。」

「血を飲ましてくれるならなんでもいい!奴隷にでもなってやる!」

はいらさんはとても嬉しそうに微笑む。なぜこんなに笑顔なのか知らないが今は気にしてる場合じゃない。

「本当に?」 

「ああ!!だからはやく!?」  


はいらさんは制服のボタンを緩めて、首筋を見せてくる。


「いいよ。」


僕は全力で移動して、はいらさんの肩を思いっきり掴む。


「い、いいんだな・・・・・・?」

「うん。」


今僕がどんな顔をしてるかわからないが、とてつもなく興奮しているだろう。はいらさんも少しだが顔が赤い。


僕は勢いよく首筋を噛む。


そしたらはいらさんは優しく手を後ろに回して、耳元で囁いてくる。


「これで霧君は私のもの。」

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