現代語訳 論語

 今回はちくま新書の『現代語訳 論語』です。訳は私の敬愛する齋藤孝氏です。本書は小説とは異なり複数の短文から成り立っているため、いくつか紹介しつつ、自分の感じたことを書きます。


「外からいくら学んでも自分で考えなければ、ものごとは本当には分からない。自分でいくらか考えていても外から学ばなければ、独断的になって謝る危険がある」


 前半では「思考をもって勉学すること」の大事さを説いていますが、後半は真逆です。考えること、外から知識を得ること、この二つのバランスが大事ということですね。



「学ぶにおいて、知っているというのは好むものには及ばない。学問を好む者は、学問を楽しむ者には及ばない」


 有名ですね。『論語』は学問・徳についての文が多いですが、この章句は創作にも当てはまります。言い換えれば「創作を好む者は、創作を楽しむ者には及ばない」というところでしょうか。何事も楽しむことが大事です。



「弟子の南容は『白い玉のきずは磨いて直せるが、言葉で人を傷つけたら直しようがない』という言葉をふだんから何度もくり返し(以下略)」


 簡潔にまとめると、「言葉は刃物」ということでしょうか。暴行などは目に見える傷ですが、言葉は見えない傷を心に負わせることです。一度口にした言葉は撤回できません。

 人を傷つけるとは違いますが、日本の政治家の皆さんにはこの章句を胸に刻み、前言撤回などしないで欲しいものです。



「先生がいわれた。『人が自分の能力を知ってくれないことを不満に思うより、自分が力量不足であることを心配しなさい』【人の己を知らずをうれえず、その能わざるを患う】」


 耳が痛いですね。創作にも同じことが言えます。「なんで自分の小説の良さをみんな分かってくれないんだ、と考えるよりも自分の力量が足りていないことを心配しろ」。こんなところでしょうか。「愚痴るよりも、自分に力量がないことを素直に認め、能力向上を図る方が有意義」ともとれます。



「子路は、何か有益なことを聞いても、それを自分でできるようになるまでは、さらに何かを聞くことをおそれた(子路は、知るだけで満足する者とは違い、自ら実践することを重んじた)」


 知識を吸収しても、実践できなければ意味がない、というところでしょうか。座学も大事ですが、実地も大事ですね。



 今回は普通とは違い『論語』を創作に当てはめたりしてみました。これ以外にもためになる言葉があるので、気になる方はぜひ読んでください。

 今回はこの辺で。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る