自省録

 今回はマルクス・アウレリウスの『自省録』です。著者はローマ皇帝であり哲学的な一面を持った人物です。文武両道といったところでしょうか。本書はたまに読み直しています。今回取り上げるにあたり再読したところ、改めてためになる本だと実感しました。



 本書ですが、ガッチリとした哲学書ではありません。むしろ、自戒を兼ねた覚書です。では、なぜ書籍として発売されているか。後期ストア派の思想が多く含まれているからです。私は哲学についてはあまり知識がなく、世界史が好きだから暗記しただけなので、気になる方はネットで検索してください。


 本書は構えて読むものではありません。内容には彼の家族のことなど、私的な内容もあります。さらに、似たような意味の文章がたびたび出てきます。なので、ぺらぺらとページをめくって、気になる文章を読む、それで十分です。哲学に興味のある方は通しで読むのもありでしょう。私も一回目はそうしました。

 お気に入りの文章はいくつもあるのですが、それでは引用が多くなりすぎてしまうので、今回は二つ紹介します。


「あたかも一万年も生きるかのように行動するな。不可避のものが君の上にかかっている。生きているうちに、許されている間に、善き人たれ」


 胸にグサッと刺さりますね。一行目が特に。私たちは普段何気なく生活していますが、それはいつまでも続きません。生まれた瞬間にまた死も確実に訪れるものとなります。自分がいつ死ぬか分からないのはもちろん、肉親や友人もまたしかりです。「親孝行、したい時分に親はなし」です。普段の生活を当たり前と思わずに、大切に生きたいですね。


「もっともよい復讐の方法は自分まで同じような行為をしないことだ」


 誰かに嫌なことをされても、仕返しをしてしまえば相手と同じです。実行はなかなか難しいですが。「己の欲せざるところは人に施すことなかれ」に近いですね。


 挙げだすときりがないので今回はこの辺で。

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