緋色の研究
前回コナン・ドイルの『失われた世界』を読んだので、著者の別作品を読むことにしました。今回はシャーロック・ホームズが誕生した『緋色の研究』です。光文社版になります。二百ページほどでかつ行間も広いので初心者でもとっつきやすいと思います。
人によっては「読む順番が逆じゃないか!」と言われそうですが。私自身もそう思います、はい。
こちらも再読になります。小学生のころに子供向けのものも読んだので、そこそこ読んでいると思います。
ホームズとワトスンとの出会い、印象的ですね。いきなり職業を当てちゃいますから。種を明かされれば、なんだと思いますが、結論だけ先に言うのがポイント。ここが著者の工夫ですね。
ホームズはかなり変人というより偏屈といった方が近いかもしれません。
本作はかなり変わった構成になっています。前半が犯人逮捕までの話。後半が犯人の過去と事件を起こす動機について。普通は犯人を捕まえて、めでたしめでたしですが、動機の面を掘り下げることで、犯人に同情せざるを得ません。これ以上詳しく書くとネタバレになりそうです。
ホームズは本作以外でも数々の名言を残しています。これが後発の色々なミステリー作品に影響を及ぼしています。小学生が活躍する某国民的な漫画とかね。
本作の名言を引用します。
「人生という無色の糸の束には、殺人という緋色の糸が一本混じっている。ぼくらの仕事は、その糸の束を解きほぐし、緋色の糸を引き抜いて、端から端までを明るみに出すことなんだ」
例え方が秀逸で、センスが溢れています。これが「僕らの仕事は犯人を捕まえることさ」なんて書かれていれば、ホームズはヒット作にならなかったでしょう。
ホームズはかなり偏った知識の持ち主ですが(哲学なんかは無知)、持ち前の推理力と行動力、そしてミステリアスなところに惹かれます。これが今でもホームズファンを魅了しているのでしょう。
他の作品も素晴らしく、ホームズの魅力を語りたいところですが、ネタバレになってしまうので、この辺りでやめます。
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