ミステリーの書き方

 今回は『ミステリーの書き方』です。なんと本書は「日本推理作家協会」編著です。普通であれば「創作論」の類は著者が一人ですが、本作は実績のあるミステリー作家たちが自らの創作論を書いています。東野圭吾氏、有栖川有栖氏、宮部みゆき氏、伊坂幸太郎氏、綾辻行人氏に赤川次郎氏など。すごい面々です。ミステリーを書く人に限らず一般論もあるので、かなりためになりました。


 本作の目次を見ただけで「これを求めていた!」となりました。「アイデア発見のための四つの入口」、「プロットの作り方」、「視点の選び方」、「文体について」など。これらはミステリーに限らず一般論としてためになりました。ミステリーばかりを書くわけではないので。


 肝心なミステリーについての項目は「手がかりの埋め方」、「叙述トリックを成功させる方法」、「本格推理小説におけるプロットの構築」などなど。


 色々な方が本書で創作論を書かれている中で、これは! と思ったのが東野圭吾氏の「オリジナリティがあるアイデアの探し方」でした。以下引用です。


「僕は作家になる前は技術職だったんですが、当時の職場で得た知識が、後にトリックを考える際に役立ったことも多いんです。(中略)例えば『この機械はこういう理由で危険だ』と説明を受けることがあります。ということは、危険じゃないように見えるけど実は危険だということですよね。そういったものは、裏を返せばトリックになるわけです」


 なるほど、と思いました。発想の転換ですね。これはミステリーのトリックに限らず、大切です。普段、人の思考って「これはこういう道具だ」と認識します。当たり前ですが。つまり、固定概念があるわけです。そこをプロの作家は固定概念をぶち壊してアイデアを創出する、ということです。


 私はショートショートメインですが、文章が短い分オチがビシッと決まらないと読者からすると「で、どういうお話なの?」となります。もちろん意外なオチでなくても、余韻がある終わり方もいいと思います。しかし、余韻がある終わり方ってなかなか難しい……。

 そんな時に東野圭吾氏の創作論が活きてくるわけです。ショートショートの神様といえば星新一氏ですが、やはり設定から面白いんです。そして「え、そんな組み合わせするのか! なるほど!」ってなります。


 話が脱線した感がありますが、かなりためになりました。


 今回はこの辺で。

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