原稿用紙10枚を書く力

 今回は齋藤孝氏の『原稿用紙10枚を書く力』です。齋藤孝氏、早くも二度目の登場です。私が師とする人物だからです。結論から書くと、本書は「論文などを十枚書く力をつけるには」を主目的にしています。残念ながら、創作論ではありません。しかし、本書の中にも創作に使える箇所があります。今回はそこを中心に書いていきましょう。


 まずは「量から質が文章上達の近道」について。これは論文や感想文に限らず創作でも一緒だと思います。いきなり質を求めると、一文字も書けなくなります。私はもともとショートショートが得意なので必然と量が多くなります。長編を書きたいという人もまずは短編から書いてはいかがでしょうか。


 次に「起承転結の『転』から考える」です。起承転結で言うと「転」は「ところが」にあたると著者は言います。「転」が思いついたら起承もすでに出来上がっているというのが著書の主張です。創作も同じかもしれません。「転」つまり「ところが」というそれまでの展開をひっくり返す場面が思いつけば、必然と起承も頭の中に出来上がっていると思います。そもそも始まりがなければ「転」を思いつかないからです。


 最後に「性格の違う三つのキーコンセプトをつくる」です。著者は論文などを書くにあたり、異なる三つのキーコンセプトがあれば、それらをつなげようとすると複雑さが生じ、オリジナリティが出ると述べています。

 そして、この話の中で「三題噺」についても触れています。よく「三題噺は創作の基礎を身に着けるのに良い」と言われます。私もこれには賛成で、三題噺の自主企画があれば可能な限り参加することにしています。一つ目の「量から質へ」にも通じるところがあり、まずは量をこなす。では量をこなすのにどうすれば良いか? そこで三題噺の出番です。量をこなすにあたり、いちいち自分で題材を探すのは苦労しますし、その時間を執筆に充てる方が良いかと思います。


 以上、感想というより半分創作論になってしまいました。本書はあくまでも論文や感想文を書くための書籍なので、ご注意ください。


 今回はこの辺で。

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