第11話 酔っ払い


 僕たちはその後、宿を出てご飯を食べに行った。


「シアンはお酒飲む?」

「オサケ? なんだそれは」

「じゃあ一緒に飲んでみようか」

 僕は葡萄酒と、パンとスープと串焼き肉とサラダを注文した。

 サラダは勿論山盛り。スープも野菜たっぷりと書かれたものにした。

 野菜。野菜が食べたかったんだよ。

 ビタミン不足はお肌に良くないからね。

 タンパク質は肉を食べてたからいいとしても、マンゴーだけじゃビタミンは偏っちゃうからね。


 葡萄酒ってワインだよね?

 飲めるかな? カシスソーダとか飲みたかったんだけど、それっぽいのはなかった。

 甘くなかったら飲めないかも。

 僕、甘いカクテルじゃないと飲めないんだよね。


 届いたのはワインっぽい飲み物だった。ワイングラスじゃなくて木のジョッキみたいなのに入ってるけど。

「シアン、このコップをぶつけて乾杯っていうんだよ。それから飲み始めるのが決まりなの」

「不思議な決まりがあるんだな。分かった」

「「かんぱーい!」」


 味はワインだけど、ぬるい…

 甘くはない。

 メニューからソフトドリンクを探すとリンゴジュースがあった。よし、これで割ろう。

「どう? シアンはこれ飲める?美味しい?」

「飲めるが、美味しくはない」

「そっか。じゃあシアンのも頼んであげるね。

 すいませーん、リンゴジュース2つ」

 リンゴジュースが届くと、僕とシアンのワインが入ったジョッキにリンゴジュースを注いだ。

 そしてぬるかったから、シアンに氷を入れてもらった。


「うん。これなら美味しい。シアンも飲んでみて」

「分かった。ん? これ、美味しい。甘い」

 僕たちはワインのリンゴジュース割りを次々と飲み干した。

 もちろん野菜ももりもり食べた。


 満たされた〜

 あんなに飲んで食べたのに、支払いは小銀貨1枚と銅貨6枚だった。この世界の物価安くない?

 酔っ払いのシアンと僕は腕を絡めて宿に向かって部屋に入った。

 あ〜パジャマ買えばよかった。

 せっかくベッドで寝れるのに。


 部屋に入ると全身に浄化をかけて、ベッドを含む部屋全体にも浄化をかけた。


「シアン好きいぃ。女の子のシアンと寝たい」

「リン、大丈夫? フラフラしてるぞ。我もか」


「女の子のシアン可愛いい、抱きしめさせてえぇ」

「いいよ」

 抱きしめたけど、足元がフラついてる2人はベッドに倒れた。


「リン、キスしたい」

「いいよ。いっぱいしよ」

 シアンのキスは気持ちいい。

 触れているだけなのに、温かくて愛に溢れて。満たされる。

 そこからの記憶はない。


 窓から射し込む光で朝だと分かった。

 ここどこ?

 そっか、昨日街に来て、宿に泊まったんだった。

 隣のベッドが見えたけど、シアンがいない。

 あれ? 僕1人?


 そして反対を向いて


 !!!!


 僕は声が出なかった。

 僕の隣には裸の女の子が寝てた。

 なんで? いつ? 誰?


 驚いて僕はベッドから落ちた。


 ドサッ


 そしてベッドから落ちた僕も裸だった。

 下着が遠くに見えた。僕のゴスロリの服も脱ぎ捨てられてる。

 僕、もしかして酔ってやらかした?

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