第7話 シアンの姿


 それから僕は森から出るまでの2日間、シアンが魔物を探しては魔法で倒して進んだ。

 最後の方は簡単に倒せるようになって、血がブシャーっとなっても怖くなくなっていった。躊躇なく倒せるのは少し怖いけど、襲ってくる魔物を倒さないと僕が餌になっちゃうからね。


 やっと森の出口が見えると、僕はジャンスカの下にパニエをはいて、しっかりドールメイクをしてヘッドドレスも着けた。


「いつもと違う。今のリンも可愛い。好き」

「ありがとう。僕もシアンが好きだよ」



「リン、ステータス確認する?この先は魔物が少ないからレベルを上げられない。

 弱かったらもう少し強くなってから行った方がいい」

「そっか。ステータスオープン」


 名前:リン・サトウ

 種族:人間? (転移者)

 レベル:55

 HP:4,450/5,800

 MP:1,840/2,700

 魔法:水、風、氷、火、雷、空間

 スキル:庇護欲、おねだり、うるうる、あざと可愛い、メイクプロ級、アイテムバック、癒し、魅了、料理、経験値上昇、MP節約、言語理解、浄化、保湿、無詠唱、小悪魔

 称号:シアンの主人、可愛いは正義、人たらし、シアンの嫁、シアンのキスの虜


 僕はステータスをサッと閉じた。

 レベルはいい。HPやMPが増えて、魔法に雷が新しく加わっていた。スキルに小悪魔が増えたのもいい。1箇所? がついてるのもまぁいい。称号にシアンのキスの虜と……


「……シアン、見た?」

「見た」


 シアンは人型になると、僕を抱きしめてそして唇を重ねた。

 すぐ閉じたのに、やっぱり見えたか。

 見えちゃったものは仕方ないよね。温かい愛情で満たされていく。ダメだな。僕はもうシアン無しじゃ生きていけないかもしれない。


「リン可愛い。好き。大好き」

「僕もシアンが大好きだよ。シアン、ここからは人型で移動しようか。

 人に会った時に熊だとびっくりして攻撃されてもいけないから」


「分かった。この姿でいいか?」

「え? 違う姿にもなれるの?」


「なれる。今はリンが可愛い姿だから男の姿をしているが、女の姿にもなれる」

「そうなの!? シアンって性別は男なの? 女なの?」


「我は両方だな。どちらも違うとも言える」

「そっか。別に性別なんてどっちでもいっか。でもシアンの女の姿見てみたい」


 シアンは巨乳で可愛い女の子になった。髪や目の色はイケメンの時と同じだけど、綺麗というよりは可愛い女の子。背も僕より低い。


「可愛い。シアン可愛い!」

「そう? リンの方が可愛い」


 そして女の子の姿でも僕に唇を重ねた。

 側から見たらこれは美少女同士の百合だな。これも写真に撮りたい。

 シアン、柔らかい胸が当たってるよ。

 シアンは女の子の姿でもたくさん愛情を流してくれて、幸せで満たしてくれる。

 僕はシアンが好きなんだな。イケメンの姿でも女の子の姿でも、シアンはシアンで、好きだと思った。もちろん熊の姿でも。


「シアン、男の姿でいて」

「分かった。リンは男の姿の我の方が好きなんだな」


「違うよ。全部好きだよ。熊でも男でも女でも全部シアンでしょ? 全部好きだよ。でも、女の子の姿は僕だけに見せて。他の人には見せないで」

「分かった。リンだけに見せる。他には見せない」


 これ、独占欲なのかな?


「人型ではリンを抱いて進めない……」

「じゃあ手を繋いで歩いて行こうよ」


「分かった」


 イケメンのシアンと手を繋ぐと、温かい好きが流れてくる。

 いつもシアンは僕に愛情を伝えてくれるけど、僕からも流せるのかな?

 念じればいいの? それとも、何かやり方があるんだろうか?

 シアンに聞くのはやめておこう。僕が自分で見つけて、シアンを驚かせたい。

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