28話:付喪神
「グッジョブ
薬屋:
「よくやった。このボクが褒めてやる」
「うん、ありがとう」と一応返事はするものの。
(穢れを払えたのは良かったけど、まさか
気になることは他でもない。
ヘドロの消えた綺麗な水辺、そこに落ちた日本人形を拾い上げ、遊歩道に腰掛けてから
前述の通りおかっぱ頭の日本人形で、全長は約30センチ程。
顔が大きく4頭身ほどのデフォルメされた見た目で、水に濡れてこそいるが、模様も鮮やかな桃色の振袖を着ている。
人形の命とも言える顔、その瞳は
「それ、
「まさか、俺に人形遊びの趣味は無いよ。日本人形の収集もしてないし」
後ろから、肩越しにズイッと覗き込んで来た狐の美少年:
それから
「誰かがここに残して行ったのか? だとしても、
「
「ん? ……何が?」
「人形が、目を開いた」
「え?」
まさかと思い、視線を手元の人形に落とすと――
「わっ!?」
驚き、危うく湿地へ落としそうになるも、寸でのところでキャッチに成功。
落とさないように両手でギュッと握り締めると、手元から甲高い声が響く。
「ちょっとッ、乱暴に扱わないでよ!!」
「……へ?」
一瞬、肩に顎を乗せる
ならば薬屋:
既に「答え」は決まっている様なものだが、それでも彼は念の為に尋ねた。
「さっき喋ったのは“お前”か?」
「まぁ!! お前なんて失礼な人ね。ちょっと自分が美男子だからって、調子に乗ってると呪うわよ?」
「………………」
案の定、おかっぱ頭の日本人形が喋った。
瞼と違って口は開閉していないのに、不思議と声が聞こえてくるが、「まさか」という言葉は流石に言い飽きた感もある。
この
流石に“驚き”には慣れてきた感もあるけれど、それでも身構えていた結果と違うのは事実な訳で――。
「ちょっとアンタ、何黙ってるのよ。呪うわよ?」
「いや、呪うのは辞めてくれ。ようやくお前……じゃなくて、キミに憑いていた穢れを払ったところなんだから」
「はぁ? 何よそれ。まるで私が穢れに憑りつかれていた様な言い方じゃない」
「あぁ、うん。だからそう言ってるんだけど」
「あはははっ。この私が穢れに憑かれる訳ないでしょう? 冗談もほどほどになさい。ほら、そこの二人も何をボーっとしてんのよ。この素っ頓狂な男に何か言ってやりなさいよ」
絶対に認めたくないというか、あり得ない話だと思っているらしい。
日本人形が二人に同意を求めるも、求められた
「お前、
それに対し。
「はいはい、子供はすぐに嘘吐くんだから」と日本人形は聞く耳を持たず、その瞳を少し離れた
「ほら、アンタが真実を告げなさい。この私が
「あ~、何かそのスタンスで来られると非常に言い辛いんだけどさ、残念ながら二人の言う通りだよ」
「……はい?」
「キミは
「はぁ? そんな訳ないでしょう。ここ最近の記憶なら確かに……あれ?」
この疑問符が決定打。
日本人形は遂に負け(?)を認め、
■
“
長年人に使われた道具が、捨てられたり忘れ去られた時に妖力を得て『あやかし』となったモノ。
有名どころでは「唐傘おばけ」などが付喪神の部類に入るが、取り分け人の形を模した「人形」は妖力が宿り易いとされている――というのが
つまり、言わずもがな。
「この日本人形が
「そうよ。アンタなんかよりよっぽど長生きしてるんだから、これからは私を
偉そうにそう告げた日本人形は、今現在“宙に浮いている”。
ジッとしていられない性分なのか、左右にユラユラと揺れたり、空中で一回転したり、その度におかっぱの黒髪と桃色の振袖がユラユラと揺れる。
まるで本当に生きているかのような動きに思えた
「随分と自由に動けるんだな。これも“妖力”とやらのおかげなのか?」
「そうよ。何アンタ、そんなことも知らないの?」
「俺は
「ふ~ん? まぁアンタは私の穢れを払ってくれたみたいだし、今回は大目に見てあげるわ。ちなみに私は
「
名乗った――ただ普通に名乗った、それだけのハズなのに。
日本人形の
「
――――――――――――――――
*あとがき
続きに期待と思って頂けたら、本作の「フォロー」や「☆☆☆評価」を宜しくお願いします。
お時間ある方は筆者別作品「■黒ヘビ(ダークファンタジー*挿絵あり)/🌏異世界アップデート(純愛物*挿絵あり)/🍓ロリ巨乳の幼馴染み(ハーレム+百合*挿絵あり)」も是非。
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