第9話 ふぁ?

☆(早見玖)サイド☆


何というか.....困ったというか。

ドキドキが止まらない。

その原因は何かはもう分っている。

原因は全て恋実のせいだ。

恋実が俺にキスをしようとしたからそれで俺はドキドキが止まらない。


「お兄ちゃん」

「.....な、何だ。恋実」

「さっきの事.....もう忘れて」

「あ、ああ」

「めっちゃ恥ずかしいから。私も何をしているんだろうって思ったから」


双子でお風呂に入っている時に先に上がって来た恋実にそう言われた。

恋実に俺は赤面する。

それから頬を掻く仕草をした。

そう言われると恥ずかしいものがある。

思いながら恋実を見る。


「.....恋実.....」

「私はお、お兄ちゃんをどうも思ってないけど.....だけど.....だけど」

「.....分かる。お前の言いたい事は。.....お前が何を表現したいかも」

「.....そっか」

「ああ」


そして俺はソファに腰掛ける恋実を見ながら麦茶を飲む。

それからソファに移動してから一息つくと恋実が寄って来た。

そうしてから俺を見上げてくる。

「ねえ。もし.....もしだけどさ」と言いながらだ。


「.....私が本当にキスをしたいって言ったら.....どうしたかな?」

「冗談でもよせよ。俺らは付き合ってないんだから」

「そうだね。.....だけどもし可能性の範囲で.....」

「.....可能性の範囲で言うなら俺はお前とキスはしなかった。.....何故なら俺はお前にキスをできる様な一人前になってない」

「.....そっか。お兄ちゃんらしい回答だね」


それから恋実は俺から離れる。

そしてそのまま立ち上がって伸びをした。

すると洗面所から音がしてきて恋葉も風呂から上がった様だった。

恋実は俺を見てくる。


「ありがとうね。お兄ちゃん」


という感じでだ。

俺はその言葉に苦笑しながら「どういたしまして」と答える。

それから恋実はニコッとする。

そんな姿を見ながら俺は洗面所のドアを見る。


「いやー!良い風呂だった!」


という感じで恋葉がニコニコしながらパジャマ姿で出て来る。

それはピンクのパジャマ。

俺はその姿に目をパチクリして「可愛いなお前」と話す。

すると恋葉は「へ?」という感じになる。

そしてしおらしくなってから「あ、ありがとう」とモジモジする。


「.....」


そうだな。

俺は大切にするべきだな。

今.....こうして居る大切な双子を。

思いながら俺は恋実を見る。

恋実は笑みを浮かべながら俺を見ていた。


「.....ど、どうしたの?おにーちゃん。やけに元気だけど」

「これは元気とかじゃないぞ。.....ただ.....何だろうな。まあお前らを見ていると元気が湧くから多分元気なんだろうな」

「そ、そうなんだね.....」


恋葉はかなり恥ずかしそうな感じで反応する。

それから「ちょ、ちょっと.....明日の準備をして来る.....」とそのまま去って行った。

俺は「?」を浮かべながらその姿を見送る。

そして恋実を見る。


「.....お兄ちゃんはやっぱりイケメンだね」

「え?それはどういう意味だ?」

「あはは。言葉通りの意味だよ」

「.....???」


俺は訳も分からず居ると「ねえ。お兄ちゃん」と言ってきた。

それから「お菓子買いに行かない?」と笑みを浮かべる。

俺はその言葉に「ああ。そうだな。暇潰しに行くか」と柔和になる。

そして恋葉に許可を貰ってからそのまま俺達は外に出た。

そうしてから近所のコンビニに向かう。


「ねえ。お兄ちゃん」

「.....何だ?」

「例えばだけどさ。.....恋葉と恋実。.....2人のどっちを選ぶって言ったらどっちを選びたい?」

「え?それはどういう意味だ?」

「恋人として」

「.....は!?」


突然の言葉に俺は動揺する。

そして恋実に向くが。

恋実は「まあ冗談だけどね」と笑顔になってから前を歩いて行く。

空を見上げる恋実。

それから空を指差す。


「お月様が出てるよ」

「あ、ああ。そうだな.....大きな月だ」

「.....お兄ちゃん動揺しすぎじゃない?あはは」

「.....う、うるさいな.....」


動揺もするに決まっている。

いきなり女の子にそう言われたら誰だってな。

からかいだとしても.....動揺する。

思いながら俺は「恋実」と向く。

すると恋実は「うん?」という感じでこっちを見てくる。


「.....俺はお前らの事は大好きだ」

「.....え?.....あ、う、うん」

「だけど俺はお前らは恋愛対象にならないと思う。.....それは俺がまだ一人前じゃないから」

「.....うん。お兄ちゃん。待ってるよ。それでも」

「いや。だから.....」

「私達に向くよ。お兄ちゃんは。.....何故なら私達が誘惑するから」


そんな感じで俺にまた向いてくる恋実。

俺はその言葉に目を大きく開いてから真っ赤になる。

コイツそんな恥ずかしいセリフを.....よく。


そんな言葉を考えながら。

そして近所のコンビニに着いた。

モカの居るコンビニに、であるが。

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