第7話 私達の祈り
☆(早見恋葉)サイド☆
恋実が行った。
貞本に私達に2度と近づかないでという感じの忠告をするのに。
私はニヤッとしながら恋実を見る。
そして恋実は私を見た。
「これだけ脅せば大丈夫でしょう」
「そうだね。恋実」
「じゃないといけないよ。お兄ちゃんが可哀想」
「それは確かにねぇ」
放課後になった。
私達はいつもの様におにーちゃんに会う為に階段を登る。
そうしているとおにーちゃんが何かギャルに絡まれていた。
私達は「?」を浮かべながら耳を澄ます。
するとそのギャルはお兄ちゃんを誘惑しているのに気が付いた。
「ねえ。玖くん。私と付き合ってくれない?」
「な、何なんだお前!?普通に現れていきなり色仕掛けとか!」
そんな感じで言うおにーちゃん。
私達はたまらず飛び出した。
それからそのギャルを威嚇する。
「誰アンタ」と言いながら。
するとギャルは冷めた顔になり「アンタ達は.....」という感じで反応する。
「私達はおにーちゃんの妹。.....貴方は誰。いきなりおにーちゃんを誘惑してどういうつもり?ビッチ?カス?」
「いきなりビッチとかカスとか失礼だなぁ」
「.....いや。ビッチでしょ?見た感じそうだもの」
「アハハ。アンタ達もしかして恋葉と恋実ちゃん?そっかそっか」
「何故名前を知っているの」
「アンタ達の事は有名だよ。美少女双子だって」
「.....」
私達は冷めた顔でビッチを見る。
するとビッチはおにーちゃんと腕を組んだ。
その行動に殺意が芽生えた。
それから私達は「何をしているの?」とキレて聞く。
「何をしているって言われたら......玖くんを借りるね」
「.....貸す訳ないでしょ?何を言っているの?このクソアマ」
「そうだね。恋葉。.....敵と認識した」
「待てお前ら!?人を敵と認識.....ロックオンするな!?」
「お兄ちゃん。そんな悠長な事を言ってられない。.....その女.....許せない」
それから怒る恋実。
私も静かに怒りを表す。
するとビッチは「.....今はこの辺りにしておこうかな」とそのまま笑顔で離れた。
そして静かに私達とおにーちゃんに手を振りながら「じゃあね。玖くん。また」とそのまま去って行った。
私達はその姿を見ながらおにーちゃんを見る。
「おにーちゃん.....大丈夫?」
「貞操は?」
「.....お前ら。学校で聞く事じゃないぞ。.....でも助かった事は助かった。.....本当にいきなり絡まれたからさ」
「そうなんだね」
「そうだ」
そして恋実は先程のビッチが行った方角を見ながら溜息を吐く。
それから恋実は「お兄ちゃん。帰ろう」と笑顔になる。
今の事を忘れる様な感じでだ。
私もニコッとした。
「.....そうだな。とっとと帰るか。今日は何か変な事が色々あるしな」
「うん」
「だね」
私達は一瞬だけ冷めた表情をしながらビッチの去った方向を見てから帰宅する。
因みに私達だが部活には入ってない。
それは何故かといえば簡単だがおにーちゃんとイチャイチャしたいからだ。
右左から私はおにーちゃんを誘惑してからそのまま帰った。
「.....お兄ちゃんの貞操が守れて良かったよ」
「そうだね。傷物にされたら激昂レベルだね」
「お前ら.....怖いんだが」
「怖いとかそういう事を言っている場合じゃないよ。.....私達はマジな話をしているから」
「そうそう。お兄ちゃんはあくまで私達の物だからね」
だからこそあんなクソビッチにやられる訳にはいかない。
もしかしてアイツは貞本の使いか?
思いながら私達は校舎をそのまま後にした。
そして帰宅する。
「.....お兄ちゃん」
「.....何だ?恋実」
「飲まれないでね。あんな変なのに」
「飲まれるとか飲まれるとか以前に俺はあんなの付き合えない」
「そうだね。.....分かった。お兄ちゃんを信じている」
それから恋実は歩き出す。
その途中で.....スーパーを見つけた。
恋実が「ちょっと寄って良い?」と聞いてくる。
私達はその言葉に待機した。
その間に私はおにーちゃんに向いた。
「おにーちゃん」
「何だ?恋葉」
「.....あのクソビッチに心当たりは?」
「無いな.....何だろう。初めて見たよあんな人」
「.....そっか。.....貞本にあんな知り合いは?」
「居ないな。多分」
「そっか」と返事をしながら私はおにーちゃんに笑みを浮かべる。
そうなると.....まだ情報が必要だ。
あのビッチ絶対に抹殺する。
恋実もきっと同じ思いで居る筈だ。
どんな使いだろうが私達は絶対に抹殺する。
邪魔する奴は許さない。
「.....多分.....貞本の知り合いだろうから。.....私達が何とか処理する」
「い、いや。処理って。.....殺すなよ?頼むから」
「殺しはしないよ?犯罪じゃない」
「.....そ、そうか。だったら良いけど」
「まあ殺しはしないけど.....」
「?」
社会的に抹殺してやる。
そういう思いは心の中に大きくある。
私はそういう思いを抱きながらあのクソビッチを考える。
社会的に抹殺なら今は犯罪じゃない。
そう.....居場所を無くしてやるだけだから犯罪にも該当しないのだ。
「.....恋葉」
「.....何?おにーちゃん」
「人は恨む事が全てじゃないぞ」
「.....分かってるけどね」
「.....じゃあ穏やかにいこう」
「そうだね」
私達はおにーちゃんを取られる訳にはいかないのだ。
それは.....昔からの祈り。
だからこそ私達は願いを叶えるのだ。
穏やかに。
その言葉は申し訳ないが今は考えれない。
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