第6話 汚泥

☆(貞本蓮)サイド☆


浮気しているのがバレてしまった。

その影響で私は別れを告げられてしまった。

私は泣いたがこれで良かったと思う。

だけど後悔しかない。


どうしても相手の男性も.....玖も魅力があった。

だから.....手を伸ばした。

落ちたのだ私は。

もう悔いは無いと思う。


「.....馬鹿だなぁ」


それに今頃気付く私も間抜けだな。

思いながら私は授業を受ける。

そうしていると.....教室に女子の1年生がやって来た。

それは恋実ちゃんだった。


「あはは。居ましたね」

「.....な、何.....恋実ちゃん.....」

「.....ちょっと空き教室に行きましょうか」

「.....う、うん」


そして私はニコニコする恋実ちゃんと一緒に空き教室に向かう。

それから空き教室で鍵をかけられてから.....見据えられる。

その目は凍てつく視線だった。

まるで死神の様な。


「.....お兄ちゃんをいたぶって楽しいですか?蓮さん」

「.....いた.....いたぶってないよ。何の事?」

「とぼけるんですか?貴方は浮気しましたよね」

「.....あ.....そ、そうだ.....ね。だけどもう別れたから.....」

「別れたから終わりですか?お兄ちゃんはすっごい傷付きました」

「.....そ.....そうだね.....」


「私は貴方を決して許しませんよ。貴方はお兄ちゃんを傷付けた。その分の代償は払って貰わないと」と言ってくる恋実ちゃん。

私は見開きながら「それはどういう?」という感じになる。

恋実ちゃんは「お兄ちゃんに謝って下さい。.....それから一切の関係を断ちます」と言いながら恋実ちゃんは私に笑顔を向ける。

私は「そんなの.....」と言い淀むが。


「.....はい?それぐらいできますよね?だって浮気したんだから」

「.....まあそうだけど.....だけど!」

「嫌なら良いですよ。私全ての情報をバラしちゃおうかなぁ」

「待って.....恋実ちゃん。それだけは止めて」

「じゃあ素直に従って下さいね」

「.....分かった」


とそこまで言ってから私はハッとした。

(まさかと思うが)と考えながらだ。

そして私は顔を上げる。

それから聞いた。

「恋実ちゃんか恋葉ちゃんはその。玖が好きなの?」と。

すると恋実ちゃんは「どっちでも良いですよね?それ。私は貴方に言い分を申しに来たんで」と言ってから教室の鍵を開ける。


「.....私達に2度と関わらないで下さいね」

「.....」


恋実ちゃんは満面の笑顔で去る。

その場に私は崩れ落ちた。

そしてそのまま泣き始める。

最悪の結末だった。

こんな事になるなんて思ってなかった。

本当に最悪だった。


「.....」


私はゆっくり立ち上がる。

それから虚無の心で歩き出す。

そして椅子に腰掛ける。

最悪の結末だ。


「.....私は何をしているんだろうか」


そんな事を呟きながら私は泣き始める。

そして連絡先を消そうと思ったのだが.....消せなかった。

相手から勝手にブロックされるだろうけど。

思いながら私はそのまま何もせずに授業の続きを受ける。



3時間目が終わった頃。

私に話し掛けてくる人が居た。

ギャルである為に警戒する。

長妻陽毬(ながつまひまり)という。

クラスでは有名な.....その。

ビッチとされているが.....何の用事だろうか。


「ハロハロー」

「.....長妻さん。何?」

「.....聞いたよ。.....空き教室の前を通った時に」

「.....!!!!!」


私はゾッとしながら長妻さんを見る。

思いながら私は「何で知っているの」と小声で聞く。

すると「聞こえたから。結構響くんだぁあの教室」と長妻さんは笑顔で答える。

金髪が揺れる。


「貴方も.....相当にやってしまったって事だね」

「.....貴方もって.....私は貴方と同じじゃ.....」

「私と同じでしょ?ビッチじゃん」


可愛い顔をしながら悪魔の様な笑顔を浮かべる長妻さん。

私はゾッとしながら耳に近付いて来る長妻さんを見る。

すると長妻さんはこう耳打ちした。

「ねえ。本当に良いの?カレピ手放して」という感じでだ。


「.....私が別れたいって思ったから良いんだよ。これで」

「ふーん。.....スクールカーストが怖い?」

「.....転げ落ちるって事?まさか。そんなの怖くもない」

「いやぁ。それはないねぇ。怖いんじゃないの?」

「.....」


私はヘラヘラしている長妻さんを睨む。

それから周りを見てから「外に出よう」と提案した。

そして私達は中庭、外に出る。

そうしてから長妻さんを改めて見据える。


「何が言いたいの」

「私と取引しない?」

「取引?.....何の取引」

「.....私は貴方の別れた彼氏を取り戻す。だから貴方は私と友人になって」

「.....そんな無茶な事できる訳ないでしょ。良い加減な事言わないで。.....じゃあ」


取引はキャンセルだ。

私は思いながら居ると長妻さんは「ちぇ。.....じゃあ貴方の友達に言っちゃおうかなぁ。貴方がビッチっての」と切り出した。

さっきと同じじゃないかこれは。


「.....貴方は.....最低だね」

「私は常に前にあるお金を見据えるからねぇ」

「.....考えさせて。.....暫く」

「えへへ。ありがとう」


長妻さんはニコニコする。

足元が泥だらけ。.....いや。

それ以上のマイナスであろう。


つまり汚泥の中を歩いている様だ。

どうしたものか.....どうしたら良いのだ。

分からない.....。

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