設定捕捉:第1章・道具

□迷宮内部の拾得物(ドロップ品)□

 迷宮内部に存在する拾得物は、ドロップ品と呼称される。

 ドロップ品は迷宮路上に存在する場合、観測者が一定範囲内に接近した場合に、非物質化状態と呼ばれる正方形ホログラム状態で出現する。

 怪異を駆除した場合、その体内には魔石が存在するが、これが体外に排出された際に非物質化状態のドロップ品に変化する場合がある。これについても正方形ホログラム状態で出現する。

 ドロップ品の正方形ホログラムに触れると、該当物体は物質化される。物質化されるまで、対象物がどのような物であるかの判別は困難。



迷宮端末メイズデバイス

 外見はスマートフォンの形をした、迷宮へ入場する機能、迷宮内で利用できるいくつかの機能を有したデバイス。


 保有する機能は

1.迷宮への入場管理

2.同一フロアへ入場するための端末リンク(パーティーの形成)

3.迷宮内ドロップ品の非物質状態での回収と保持

4.物品リストの管理、通信による受け渡しとログ保存

5.リスト内品の物質化(取り出し)とログ保存

6.一定時間ごとの不明品の解析(6時間/同時に3つ)とログ保存

7.ユーザのステータス表示とログ保存

8.所有者、遭遇者のバイタルの記録

9.政府の管理システムへの自動接続とログの自動提出


 物質化したアイテム、持ち込み品を再度非物質化する事は出来ない。

 迷宮外でデバイス内に保存できるアイテムは20個まで。迷宮内では40個まで。迷宮内外で領域が分かれており、迷宮内用の領域にあるものは、迷宮を脱出した時点でロストする。

 迷宮外領域に地上でアイテムを保管するには、専用の施設に物品を持ち込み、現自在は手数料1万円ほどを支払う必要がある。


 迷宮端末は行われた操作――物品の解析や物質化、受け渡しなど――をログとして記録している。また、バイタルに大きな変動があった前後、他者と遭遇した前後などにはドライブレコーダーのように周囲音声と合わせてログを保存しており、これらは迷宮出入り口の建屋内で政府のシステムに自動接続し、問題がないかAIによる調査が行われる。これは、政府の目の届かない迷宮内での犯罪行為を防ぐためである。

 ログの記述方式が後述の魔法道具の技術を転用している為、専用の装置でないと読みだすことができず、通信範囲が狭いという問題がある。


迷宮端末メイズデバイス・捕捉□

 迷宮端末メイズデバイスの各機能は、過去に発見された下記の魔法道具の機能を複製である。


1.保存袋

 物品を非物質状態で保存できる魔法の袋。近くに非物質状態のアイテムがある状態で口を開けると、それを吸い込む。中に入っている物を取り出すと物質化する。元来、ドロップ品は全て物質化して持ち歩く必要があったが、この保存袋の発見でその必要が無くなった。ほとんどの物はアイテムを非物質化する機能を有さない為、中にいれるにはスクロールを使う必要がある。


2.魔導書

 保存袋に入らない【魔法のスクロール】を持ち歩くための本。迷宮端末メイズデバイスのUIはこの魔導書を参考にしている。魔導書が発見されるまで、スクロールはドロップした部屋で使うしか無かった。


3.解析機

 保存袋と同様の箱の中にあるアイテムについて、魔石を消費して解析をしてくれる装置。アイテムの効果を、使用者の理解できる言葉を用いて説明してくれる。再利用可能な識別のスクロールであるが、物質化されたアイテムの解析が出来ない。


4.生体情報記録器

 通称バイタルモニター。魔石を消費して保有者のバイタル情報を可視化してくれる。装置によって制度が違い、優れた物は隠れた病なども見つけることが可能。迷宮端末メイズデバイスに組み込まれた機能はレベルとステータス、状態、それに血圧・脈拍・呼吸回数などと言った簡易なバイタルを記録するもの。デバイスのログ機能はこいつの拡張であり、専用の魔法道具でないと読み出せない。


 迷宮端末メイズデバイスでは、上記魔法道具が魔石を必要とした動作は、バッテリーに保持した電力で行えるようになっている。


□魔法のスクロール□

 発現時の見た目とその効果からスクロールと呼ばれているが、実際の所は魔法その物と言っていいアイテム。使うと内容に応じて、プリントや巻物スクロールのような雰囲気の光るエフェクトが空中に発生するのが名前の由来。

 発見当初はその場で使うしかなかったが、後に見つかった魔導書ブックと呼ばれる【遺物】に書き込むことで持ち運びできるようになる。

 迷宮内のみで存在し、地上では使う事が出来ない。また、使おうとすると霧散する。


 スクロールの種類は【利便】、【戦】、【強化】、【スキル】、【不明】の5種類。【不明】以外の4種類は、過去に発見済みのものをその効果に合わせて人類が分類した物である。【不明】は、迷宮端末メイズデバイス内のリストに符合するものが無いスクロール、すなわち新発見品を意味する。


 【利便】の分類は、雑多で便利な魔法の括り。脱出のスクロールや、識別のスクロールがこれに当たる。


 【戦】の分類は、周囲にダメージを与えたり、状態異常を起こしたりと言った、戦闘向きの効果をもたらす物。【衝撃】や【竜巻】、【睡眠】のスクロールなどもある。


 【強化】の分類は、道具や人に使い能力や品質を変動させるもの。物の耐久力や能力を増す【強化】に代表されるが、他にレベルを1上げる【成長】、一つ上の品質に変化させる【改善】などがこれに当たる。


 【スキル】の分類は、読むとSPを消費するスキルを覚えるスクロール。指さしたところに小さな灯をともす【発火】、わずかな量だが真水を生み出す【湧水】などのほか、握りこぶし程の衝撃弾が放てるようになる【衝撃弾・面】などが存在。一度覚えたスキルは、迷宮を出ると失われる。


□遺物□

 地上には存在しなかった物――非物質化状態の生物も含めて――を、まとめて【遺物】と故障している。大きく4つにわけられている。


1.魔法道具

 地球上には存在しえなかった、魔石を動力源として動くツールの総称。魔石を動力源としない物は概ね武器や防具、アクセサリーを模しておりそちらに分類される。


2.魔法素材

 地球上には存在しえなかった、鉱石や動植物素材など。大蟻の甲殻なども一応魔法素材に当たる。


3.魔法の薬品

 魔石を必要とせず、人に使うものは概ねこれ。断絶領域発生後に改正された薬事法により、厳しく取り締まられている。地上で生産できるようになった者は、【薬品】に分類されるため、こちらは地上では作ることが出来ないものが当たる。


4.生物

 断絶領域に呑まれた生き物。人や動植物から、菌類までさまざま。非物質化状態でもなぜか生きているため遺物扱いになっている。


□魔石□

 怪異(魔物)を討伐した際にドロップする石。ケイ素、鉄、炭素、窒素、酸素ほか微量元素と正体不明の元素によって構成される化合物。魔法道具のエネルギー源として使える。魔物の体内にあるが、迷宮端末メイズデバイスのアイテム回収機能によって体外に排出させることが可能。デバイスの開発時にベースとした保存袋が、袋の中にある魔石を消費して踏査するタイプだった関係で、現在の迷宮端末メイズデバイスには格納する事が出来ない。

 大きさと色でその性能が決まり、大きいほどエネルギー容量が多い。可視光の波長に従って赤から紫に近づくほど、時間あたりの出力量が上がる。

 デカくて紫なら価値がある、というわけでもなく価格帯はその地域の需要と供給による。

 砕くと色が変わるが、必ずしも出力が下がるわけでなく、その法則は未だ研究中である。


□ギルドのリース装備□

・HI-32セラミックソードA

 迷宮探索者向けに作成された、刃渡り70センチほどの片刃の直刀。レベル10の探索者が全力で振り回しても損傷しない事を目標に作られており、刃こぼれしづらく、汚れづらく、使い勝手の良い装備に仕上がっている。HI-32セラミックソードBは両刃の剣であり、使用者の好みによって使い分けられている。

 Aのメリットは峰の部分が打撃武器として利用できること。というのも、刃の部分が捻りには弱いため、魔動象ガーゴイルなどに食い込ませると破損する可能性がある。

 単に刀っぽいデザインなので人気、というのもある。


・SIG SAUER P320 フルサイズ

 かつてはM17としてアメリカ陸軍にも採用されていたハンドガン。最新装備としてはすでに世代交代をされているが、元の生産数の多さ、利用可能な弾種の多さなどから、日本国内で民間探索者にリースするモデルとして採用された。

 リース装備の標準弾は、ある程度の威力を求めた結果.40S&W弾が採用されている。


・64式7.62mm小銃

 民間探索者向けに再生産されたアサルトライフル。機能追加などもされているため正式な型番は別であるが、オリジナルが生産終了している関係で当時の名前で呼ばれる。

 迷宮10階層以降に出現する高い防御力を持つ怪異に対抗できる火力として、7.62x51mm NATO弾を撃つために採用された。89式5.56mm小銃――こちらはオリジナル――もリース可能だが、想定通り若干火力不足になるため64式が選ばれることが多い。 









  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る