第27話 慣らし運転

「ご機嫌よう愛斗くん」

「あ、こんにちは沙希さん」


 新たな週の半ばに差し掛かっている。

 この日の昼休み、愛斗が非常階段でのんびり過ごしていたら、沙希が顔を出してきた。ひとけのないこの場所は、愛斗のお気に入りであるのと同時に沙希にとってもそうであるようで、毎日ではないがたまにこうして顔を合わせることがあるのだ。


「今週末は私といちゃいちゃすることになっているのは知ってる?」

「あ、はい、一応」


 先日マオと1日中仲良くしていたので、今度の週末は沙希と1日中仲良くすることになっている。それに何か問題があるとすれば、今週末も遙香の部活休みは続くということだ。今週末は期末テストの影響で休みなのではなく(期末テストは今週で終わるため)、体育館で土日に工事が行われる影響で遙香所属のバスケ部はお休みとなったらしい。


「……姉ちゃんが休みなので、僕らは外に行きますか?」

「いいえ。遙香に関してはマオがどうにかしてくれるから心配は要らないわ」

「あ、そうなんですね」

「それより、私とのプレイ内容だけれど」

「は、はい」

「私はね」

「は、はい」

「お尻で、シたいと思っているわ」

「!?」


 突拍子もないリクエストが飛んできて、愛斗は目が点になった。


「お、お尻ですか……?」

「そうよお尻よ。ア○ルよ」

「い、言い直さなくて大丈夫です……そ、それよりそれは本気で……?」

「当たり前でしょう」


 沙希はどこか熱の籠もった口調で応じてきた。


「マオに色々と先を越されているのが悔しいのよ。私だって愛斗くんとの初めてを色々と味わってみたいの。だからとりあえずア○ルを捧げさせてちょうだい。マオとはヤっていないでしょう? ア○ルは」

「や、ヤってないですけど……だ、大丈夫なんですか……?」


 愛斗としても、お尻に興味がないとは言わない。

 出すところに入れてみたい気持ちはある。

 しかし負担になるんじゃないか? との心配が大いにあった。


「大丈夫よ。きちんと慣らし始めているから」

「え?」

「今もそうなのよ」

「い、今もって何がですか……?」

「挿れてあるのよ」

「へ?」

「プラグを、月曜からずっとね♡」

「!?」

「ふふ、週末のためにほぐしているということよ♡」

「ほ、ほぐして………………」


 それはなんともドスケベ過ぎるカミングアウトで、愛斗は理解が追い付かなかった。

 校内では清楚美人として知られている沙希が、よもやそんな状態で学校生活を送っているとは誰も思うまい。

 しかも愛斗との変態行為のためにそんなことをしてくれているのだから、愛斗としては混乱と共にたまらない感情もわき上がってくる。


「ぼ、僕のために……お尻を拡げている、ってことですよね?」

「ええそうよ♡」

「う、嬉しいですけど……無理はしないでくださいね……?」

「大丈夫よ、意外と気持ちが良いから♡」

「そ、そうなんですね……」

「それより、愛斗くんの方こそ私とお尻でするのは平気? 嫌悪感があったりするなら、それこそ無理はしないで欲しいのだけど」

「へ、平気です……むしろ沙希さんのそういうところに突っ込めるのが、今から楽しみと言いますか……」

「あら、意外と攻めっ気もあるのね? ふふ、じゃあそのときが来たらいっぱいズボズボしてもらおうかしら……♡」


 そんなわけで、今週末は新たな刺激を知ることになりそうだった。

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