第26話 見せられないよ アフター

「マーくんめっちゃ頑張ってくれたね♡」

「さ、さすがに疲れました……」


 ――夕方。

 愛斗はぐったりとベッドに寝転がっている。


 2人は結局、この時間までずっとをしていた。

 昼以降は沙希が遙香との勉強会の場を図書館に変更してくれたため、2人は声などを我慢せずに仲良くすることが出来たのである。


「まぁ、ちょっと頑張りすぎたかもねw お昼すら食べないで夢中だったしw」

「……マオさんは大丈夫ですか?」

「マーくんがずっと紳士だったからだいじょーぶ♡」


 マオは隣に寝そべりながら愛斗の頭を撫でてくれる。


「めっちゃ良かったよ♡」

「それなら、僕としても良かったです……」

「ほな、あたしはぼちぼち帰るとするかな~」

「じゃあその前にお風呂に――」

「あ、お風呂はいいや」

「え」


 マオはベッドから起き上がると、普通に衣服を身に着け始めていた。


「お風呂、いいんですか? 汗とか色々、流した方が……」

「マーくんの匂いに包まれたままでいたいからいいのw」

「で、でも……」

「いいのいいのw」


 そう言って私服をきっちり着用したマオは、


「じゃ、またね♡」


 ちゅ、と最後に愛斗のほっぺにキスをしてから帰ってしまったのである。

 

(……マオさん、えっちすぎる……)


 愛斗の遺伝子を内包したまま帰宅し、なんてことない顔で家族にただいまと告げたりするのだろう。その様子を想像してなんだか興奮してきた愛斗は、このあと一度だけ自家発電してからお風呂に入ったのである。


 

   ~side:沙希~


 

「――あ~もうマジで気持ち良かった~♡」


 西日が差し込む駅前のファミレスで、沙希は現在マオと一緒にパフェを食べているところだった。

 というのも、勉強会終わりに偶然鉢合わせしたため、ちょっと小腹を満たしていくことになったのである。


「……結局夕方までずっとシていたの?」

「そだよw だからもうマーくんのカタチ覚えちゃった♡ 今もめっちゃ入ってる感じするしw」

「……最後までゴムは使わなかった感じ?」

「あたぼーよw だから途中めっちゃ泡立ってすごいことになってたw」

「赤裸々すぎるわ……」

「へへw ――あ」

「……何よ、どうかしたの?」

「垂れてきちゃったw」

「………………お風呂入ってこなかったわけ?」

「うんw」

「うんじゃないわよ……道理であなたちょっと青臭いわけね」

「まぁ別にいいじゃんw」

「まぁあなたが良いなら別にね……ところで」

「なにさ?」

「遙香のことを散々誘導して愛斗くんとの時間を作ってあげたのだから、貸しひとつよ? 忘れてないわよね?」

「もちw 借りたモンはきっちり返すよ。どういう返し方がいい?」

「なら、今日と逆のことを今度の週末にやってちょうだいな」

「つまり、今度はあたしが遙香をどっかに誘導しろってこと?」

「そうよ。その隙に私は愛斗くんと新境地を開拓するつもりよ」

「……新境地?」


 マオが小首を傾げながら尋ねてくる。

 だから沙希はこう言ったのである。


「――お尻よ」

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