第14話 お見舞い 後編
「――やっほ! 栄養ありそうなもん買ってきたよ」
「……わざわざありがとうございます」
「いいんだって。あたしがうつしちゃったんだろうし。さあほら、部屋に戻ろ?」
風邪でダウンしたその日の放課後、昨日のお礼とばかりに、マオが1人でお見舞いに訪れてくれた。玄関でお見舞いの栄養食品などを受け取ったのち、身体を支えられながら自室まで戻る。
「塾で来れない沙希ちんがお大事に、だってさ。買ってきた栄養食品の中には沙希ちんのお金で買ったものも入ってるから」
「ほんとにすみません……わざわざ」
「いやいや、だから謝んなくていいんだって」
愛斗をベッドに寝かせながら、マオは愛斗の頭を撫でてくる。
「マーくんが風邪ひいたの絶対あたしのせいだろうし、マーくんが悪く思う必要はないんだってば」
「いや……僕がマオさんの身体を、その……舐めたりした影響の方がデカいと思うんで……」
「まぁ確かに、言われてみればね……ほな、この風邪は名誉の負傷って感じ?w」
「だと思います……」
「そういえば症状はどんなもん? キツい?」
「キツさはないです……今日金曜ですし、土日挟めば治るかと」
「ふぅ、なら良かった」
胸を撫で下ろしたマオは、それからニヤッと笑い、
「ねえねえ、ところで風邪ってさ、汗掻くと早く治るって言うよね?」
「本当かどうかは知らないですけど……聞いたりしますよね」
「ほな、あたしと一緒に汗掻いて早く治るようにしてみない?w」
「え」
キョトンとする愛斗をよそに、マオがなぜか制服を脱ぎ始めていた。ニットベスト、ブラウス、スカート、すべてがぽいっと放り出され、あっという間に下着オンリー。本日のマオは黒いレースの下着を身に着けているが、それすらもパチッ、スルッ、と脱いでしまい――ルーズソックスだけを身に着けたえっちな存在がその場に現れてしまった。愛斗はもちろんギョッとする。
「――まままままマオさん何を……!」
「へへっ、お邪魔しまーすw」
愛斗の困惑を意に介した様子もなく、マオはあられもない状態のまま愛斗のベッドに上がり込んできた。そして愛斗のスウェットを脱がし始める。無論、下着さえも。
「ま、マオさん……!?」
「これでタオルケットを被ってぎゅってくっついたら、6月の気候的にめっちゃ汗かけるよね?w」
とのことで。
諸々の衣類を剥ぎ取られた愛斗は、雪山で遭難したときみたいな状態となってマオと密着してしまう。
お互い、タオルケットから顔だけ出して。
タオルケットの中では筆舌に尽くしがたい感触の嵐。
むちっ、むにっ、と素肌同士がこすれ合い、愛斗はどうにかなってしまいそうだった。
「へへ……マーくん、これで早く良くなってね?w」
良くなる前に、色んな意味で昇天してしまうかもしれない。
そんな懸念を引っ提げながら、こうして夢心地の看病を施された愛斗。
翌日にはすっかり全快していたので、そんな荒療治にも意味はあったようだ。
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