第13話 お見舞い 中編

『――ま、マーくん!?』

「あ、はい……愛斗です」


 自宅からチャリを漕いで10分ほど移動した愛斗は、沙希の情報をもとにマオが住むオートロック付きのマンションに到着した。もしかしたら寝ているかも? と思いながらもインターホンを鳴らしてみると、マオが普通に応じてくれたのでホッとした。


『わ、わざわざ来てくれたの?』

「はい。沙希さんから自宅の場所を教えてもらったんです……迷惑でしたか?」

『いやいや迷惑ではないよっ。むしろチョー嬉しーけどあたし今めっちゃ髪ボサってるしお風呂も入れてないしマーくんに会えるような格好じゃないんだけど……!』

「別に気にしませんけど……」

『あたしが気にすんの! まぁでも、マーくんにならいっか……』

「じゃあ……お邪魔しても?」

『いいけど、今のあたしマジでアレだから落胆しないでね……?』

「大丈夫です」


 マオがどんな姿であろうとも、落胆なんてするはずがない。

 そんな絶対の自信と共に、愛斗はオートロックの向こうに招かれた。


 ほどなくしてマオが住む406号室に到着。

 そして玄関のドアが内側から開けられ――


「よっす……」


 そう言ってちょっと恥ずかしそうに顔を覗かせてきたのは、もちろんマオだ。白無地の半袖Tシャツとハーフパンツを着用中で、目に見えてお休みモードだった。


(マオさんの部屋着……レア過ぎる……)


 制服姿しか見たことがないので、これには場違いにもグッと来る。

 今の姿がマジでアレ、とのことだったが、現在のマオは普段と変わりのない金髪碧眼ハーフ美少女ギャルである。確かに髪の毛がいつもよりボサっとしているが、それはそれでレアな姿として捉えることが出来よう。


「あの、お見舞いにゼリー買ってきたので、よければ受け取ってください」

「わ、ありがと……嬉しーw」


 リビングまで通されたところで、途中のコンビニで買ってきたゼリーを袋ごと差し出した。


 室内は結構広めの3LDKといった感じで、単身用ではないオートロック付きのマンションだけあってそこそこ良い部屋のようだった。親の姿は見えないので、マオが1人で療養中なのだろう。


「……具合はどうですか?」


 マオの私室に招かれながら、愛斗は問いかけた。

 マオはゲーミングチェアに座りながら早速ゼリーを開封しつつ、


「だいぶ良くなってきたよ。鼻水とか喉の痛みは治ったし、熱も下がってきてるし。多分明日は大丈夫」

「良かったです……」

「へへ。にしても、まさかマーくんがお見舞いに来てくれるとはね~……w」


 嬉しさの中に茶化す雰囲気をこめた呟きだった。


「そんなに心配だったの?w」

「はい!」

「――っ、そ、そっかそっか……」


 からかうつもりが、愛斗が素直に頷いた影響で調子を狂わされたらしい。そんなマオはちょっと照れ臭そうに、


「……ありがとね」


 とゼリーをひと口頬張っていた。

 愛斗はカーペットに腰を下ろしながら、


「何かして欲しいことがあれば言ってくださいね? なんでもしますから」

「……なんでもしてくれるの?」

「はいっ」

「ふぅん……じゃあさ、あたしの身体拭いてよw」


 と言われて、愛斗は目を見開いた。


「……い、いいんですか?」

「むしろマーくんこそ平気? 今のあたし割とにおうと思うよ?w お風呂入れてないからこそのお願いなわけだしw」

「だ、大丈夫ですっ」


 美少女がちょっとにおうのは良いことだ。愛斗は心の底からそう思う。


「マーくんは変態さんだねぇw ま、やる気満々なら別にいーけどねw」


 というわけで、愛斗は洗面器と綺麗なタオルを拝借し、身体を拭く準備を整えた。ベッドに移動したマオの前で、膝立ちとなる。


「じゃあマオさん、拭くために脱がしますんで……」

「どーぞw ひと思いにやっちゃってw」

「では……」


 ニヤニヤと笑うマオのTシャツに手を掛けて、愛斗はスムーズに脱がした。

 すると――


(――ノーブラだったんだ……!)


 そう――ノーブラだったようで、Tシャツを脱がしたその瞬間から一気におっぱいがまろび出た。

 色白で形の良い、ツンと上向いた豊満なおっぱい。

 言うに及ばず何度見ても感動してしまう。

 ただの脂肪になぜここまで脳が揺さぶられるのか。

 男の本能とは不思議なモノである。


「ふ、拭く前に触ってもいいですか?」

「触るだけでいいの?w」

「に、匂いも嗅ぎたいです……首筋とか、腋とか」

「しょーがないなぁw ま、別にいーよw」


 とのことで。

 愛斗は早速マオに迫って首筋から順に匂いを嗅ぎ始めた。


(うおお……汗臭い……)


 いつもより更に芳醇な香りが鼻腔を突いてくれた。マオは恥ずかしそうにしつつも先日腋の匂いを嗅がれたことで慣れた部分もあるのか、「マーくん犬みたいになってるよ?w」と煽る余裕が生まれているらしい。


 実際、今の愛斗は犬のように呼吸を荒げながら匂いを嗅ぎまくっている。首筋から鎖骨、腋にかけてをなぞるように鼻を押し当ててマオの匂いを堪能中だ。

 その腋は当然のように先日よりも濃ゆい匂いになっていたので、興味本位でペロッと舐めてしまった。


「ちょw マーくんマジで変態じゃんw」

「い、イヤならやめます……」

「別にいーけどねw」


 とのことで、引き続き濃ゆい匂いと塩気を味わう。それから今度は男の本能を揺さぶるおっぱいの方に顔を持っていき、まずは谷間に顔をうずめた。腋ほどではないが、蒸れた匂いがわだかまっていてたまらない。


「……吸ってみる?w」


 と不意に問われて、愛斗は一も二もなく頷いた。谷間から顔を上げて、綺麗な桜色の乳輪と乳首を捉え、それからむちゅっと右の乳房に吸い付く。


「んっ……♡」


 マオが悩ましげな吐息を漏らす中、愛斗は夢中になっておっぱいを吸い上げる。もちろん何も出ないわけだが、愛斗を満たしてくれる何かが分泌されているように思えてならない。


「へへ、よちよちw マーくんは赤ちゃんみたいでちゅねーw」


 そんな風にからかわれようとも気にしない。

 なんであれ、この状況は幸せだ。


 こうして愛斗は心底満たされつつ、このあともマオの匂いと味を堪能しながら身体を拭き始めたのである。もちろんさすがに、上半身のみだった。


   ◇


 ところで翌日――


「……けほけほっ」


 愛斗は風邪をひいてダウンしたのである。

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