第5話 こっそり
「あははっ、バカじゃんそれ!w」
(……うるさいなぁ)
週明けの月曜日である。
放課後の現在、愛斗は自室で宿題を片付けている。
そんな愛斗の機嫌を損ねさせているのは、壁越しに聞こえる姉・遙香の笑い声だ。月曜日は部活が休みゆえに、遙香はすでに帰宅済み。そこにマオが遊びに来ているようで、会話が弾んでいるらしい。
(……マオさんの声は聞こえないんだから、姉ちゃんが無駄にデカい声なんだよな)
こういうときのために所持している耳栓を机の引き出しから取り出し、慣れた手付きで装着。余計な音をシャットアウトして、改めて宿題に取り組んでいく。
そんな状態が幾ばくか続いた頃――急に背後から手が伸びてきて目隠しをされた瞬間、愛斗はあまりに驚いて椅子から転げ落ちてしまった。
「わっ、ちょっ、大丈夫?w」
転げ落ちた拍子に耳栓が外れ、心配しつつもちょっと草を生やすような問いかけが聞こえてきた。そんな声の主は、何を隠そうマオである。
愛斗は崩れた体勢でそんなマオを認識しつつ、
「ま、マオさん……こっそり部屋に来て耳栓状態の背後取るのマジでやめてください……心臓止まりかけたので……」
「ご、ごめんw ……怪我とかはしてない?」
「それは大丈夫です……」
転げ落ちた体勢からだと、マオのスカートが覗き放題。
今日は黒だ。大変えっち。それで溜飲を下げながら、
「それより……姉ちゃんはどうしたんですか?」
「遙香ならコンビニw」
どうやらその隙を突いて訪れたようだ。
「……なら早く戻ってくださいよ? コンビニなら5分もあれば往復出来るんで」
「ほな、戻る前に驚かせちゃった分のお詫びさせてよ」
「……お詫びですか?」
「うん、お駄賃感覚でさ」
ならば――
「……今日のショーツをよく見せてください。四つん這いでお尻を突き出す感じで」
そう告げた。覗きで溜飲を下げたとはいえ、要望を告げていいならそうする。
マオはニヤッと頷いた。
「別にいーよw じゃあよいしょ、っと……こんな感じ?w」
マオが女豹のポーズを行い、スカートを背中側に上げてくれた。おかげで本日の黒いショーツが丸見えとなる。細やかな意匠が凝らされたセクシーなデザイン。サイドに小さなリボンが付いているのが可愛らしい。
そんな下着に包まれた臀部は、意外とどっしりしている。モデル体型ではあるが、骨盤広めで肉付きもよい。そんなお尻をフリフリと振りながら、
「触ってもいいよ?w」
などと挑発されれば、男としては黙っていられず、愛斗はそのお尻に両手を這わせて、ショーツ越しにぐにっと肉を持ち上げ、臀部を外側に広げたりしてみる。もしこの薄布がなければ、卑猥な部分がくぱっと丸見えになっているのは間違いない。
愛斗は我慢出来ず、そのクロッチ部分にいつだったかのように顔を押し付けて匂いを嗅ぐ。マオが「こら……♡」と叱り付けるように振り返ってくるが、足で蹴ったりといった反撃はしてこないので、やられてイヤではないらしい。
汗っぽいが、それがいい。すう、はあ、と深呼吸を行っていると、玄関の方で物音がして2人はびくりとする。残念ながらここまでのようだ。
「ほな、あたし戻るからまたねw」
そう言ってマオが慌てて立ち去っていく。
さりげなく「またね」と言ってくれるのが嬉しい。
こんな触れ合いがこれからも続くのだと思うと、愛斗は張り切って宿題に臨むことが出来るというものだった。
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