第6話 お母さんの涙と孤独
その日も遅く帰ってきたお母さん。まだ起きている私を見て驚いていた。
「なんでこんな時間まで起きてるのよ。」
少し後気が強くなるお母さん。
「お母さん。今までごめんなさい。」
急に謝る私を見て驚くお母さん。
「き、急にどうしたの。」
「最近、お母さんに内緒でお父さんに会いに行ってたの。」
お父さんと言った途端明らかに顔色が暗くなるお母さん。
「最初は優しかったの。私やお母さんの心配をしてくれていた。だから、離婚してお父さんと離れて普通な顔をしているお母さんが嫌いだった。でも、私は何も知らなかった。あいつがどんなに酷くて醜い奴なのかってことを。」
「もしかして何かされたの。」
私は首を横に振って答える。
「今日行ったらあいつは居なくて、知らない女が出てきた。」
「そう……」
暗い顔で黙り込んでしまうお母さん。
少しの沈黙がうまれた後、お母さんは口を開いた。
「今日はもう遅いから早く寝なさい。あと、もう二度とあの家に近づいちゃだめよ。約束してくれる?」
「うん。」
「約束よ。じゃあもう自分の布団で寝なさい。」
「おやすみ。」
私は自分の布団に入った。
その夜リビングからはお母さんのすすり泣く声がずっと聞こえていた。
それからの私は学校を休みがちになっていた。前みたいに香織さんと話ができる自信がなくなってしまった。まだ香織さんに両親が離婚したことも打ち明けられていない。
香織さんは私に何かあったことは薄々察しているはずだが、気を使ってか何も聞いてこない。
今までは家にいることが怖かったから学校に言って香織さんと話をしていた。でも今は学校に行くことすらも怖い。香織さんに相談すればきっと少しは気持ちが晴れるだろう。けど今まで隠してきたことを今更言うのは虫が良すぎるのではないか。
そんな葛藤の中で毎日を過ごしていた。
あまり眠れない僕とよく眠る君 眠太郎 @Karupasunemu
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