第3話 家族の終わり

 お母さんに言われるままにいつも私が座っている椅子に座った。私が座ったのを確認したお母さんは思い口を開いた。


「お母さんとお父さん離婚することになったの。今まで結衣に言えなくてごめんね。そこでね結衣。あなたはどっちについて行く?」


は?というのが率直な感想だった。たしかに最近ふたりが口論になっているところを何度か見た。でも、離婚するほど関係が悪くなっているとは思っていなかった。お父さんもお母さんも覚悟は決まっているようで私をじっと見てくる。戸惑っている私をみたお母さんは


「お母さんと一緒に来るわよね?この家から出ていくことにはなるけど、しあわせなはずよ。こんなと一緒に居るよりは。」


それを聞いたお父さんは、なにか反論をする訳でもなく、ただ頑なに口を閉ざしていた。


 それからの記憶が全くない。気がつくと私は引越しの身支度を済ませていた。

 

 生まれてから12年間いた家を出て、タクシーで20分ほどの所にあるアパートに移り住んだ。アパートは狭く、今まで一軒家で暮らしていた私からすればとても退屈に感じられた。校区は変わっていなかったため、学校を変えることは無かった。だけど香織さんには両親が離婚したことを伝えることは無かった。今まで専業主婦をしていたお母さんは私を養うため朝から晩まで働いていた。そのせいで学校から帰っても1人で居ることが多くなってしまった。

              つづく

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