第4話 図書室での睡眠

 結局分からないまま学校に向かった。


彼女は、分からない。なんて答えだと許してくれるはずがないため、授業中も授業そっちのけで考えた。そのせいで国語の先生に軽く叱られた。放課後になっても分からず、それでも彼女に会うために図書室に向かった。考えながら行ったせいもあり、彼女は先に席についていた。今日はいつものように寝ておらず、退屈そうに窓の外を見ていた。

「ごめん。遅れた。」

彼女にだけ聞こえるような小さな声で謝った。僕の顔を見た途端、彼女の顔がぱっと明るくなったかと思えばすぐにいつもの不機嫌そうな顔に戻った。

「遅いんだけど?で、なんでいつもここに来んの?」

僕は正直に

「自分でも分からないんだ。でも、なんか...君の事が気になるんだよね......」

彼女の顔がだんだんと赤くなっていく。何故か分からなくて戸惑っていると

「あ、あんた名前は?」

「え、えっと..伊藤千鶴」

「ふーん。千鶴ね。千鶴、あんたちゃんと寝てる?」

ぎくりとしたのが顔にも出てしまったようで

「やっぱりあんたちゃんと寝てないんだ。前から思ってたけどクマ酷いよ?」

不眠症とは口が裂けても言えなかった

「昨日はちょっと考えごとしてて...」

「けどあんた毎日じゃない?いつもクマ酷いし」

必死に誤魔化そうとしたが思い浮かばず

「そんな事より、君の名前は?」

と話題を変えてみた。

「ん?あぁ言ってなかったわね。私は藤原結衣。クラスはC。よろしく。」

「あ、うん。よろしく」

すると彼女は不機嫌そうな顔をした。

「な、なに?」

「なに?じゃないわよ。私がクラス言ったんだからあんたも言いなさいよ。」

確かにそうだと思い

「僕はB組。」

「あーー。あのうるさいおじさんが担任のクラスかぁ。あんた災難ね。」

どんまいどんまい。と肩をたたかれた。確かに僕の担任はすぐに怒るし、匂いも臭いため、『老害おじさん』や『口臭ジジイ』なんて呼ばれている。僕もあまり担任と話したくないと思っている。

結衣は、「私はもう寝るわね。」と大きなあくびをした。今日はもう帰ろうかと思ったが、今日も本を手に取り時間を潰した。


「千鶴?あんた早く起きなさいよ。もう放送鳴ったわよ?」

結衣の声が聞こえ顔を上げると目の前に結衣の顔があった。

「おはよう。寝起きいいのね」

くすくす笑いながら結衣は立ち上がった。

「よく寝れたみたいで良かったわ。じゃあね。」

あくびをしながら図書室を出ていった。


家以外の場所で寝るのは久しぶりだった。中2で行った修学旅行でも3泊とも寝れなかった。最終日には、クマが酷すぎてみんなに心配されたなー。なんて考えていると

「あなた何時までいるの!早く帰りなさい!」

と見回りの先生に叱られてしまった。

               つづく

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