健二、短期留学しに行く

朝飯を食べ、家を出て学校の前についた。


「校門開いてないな。」


そういえば今日は日曜日だったな。・・・・どっから入れば良いの?


困っていると遠くから手招きする人を見つけた。


「あっちに行けば良いのか。」


手招きされた方へいくと別の校門があった。そして玄関口には校長先生がいた。


「休日中すみません。」


「あぁいや、大丈夫です。」


「ありがとうございます。それでは校長室へ行きましょう。」


スリッパに履き替えて校長室まで歩いて行った。






「どうぞお掛けください。」


「はい。」


言われて通りに座った。


「それで・・・・短期留学ってどういうことなんですか?」


「健二くんは・・・・天原女子高等学校という私立高校知っていますか?」


「あまばら?聞いたこともないですけど・・・・。場所は何処なんですか?」


「場所は九州の熊本です。実はその高校から、一ヶ月間という間に交換交流を行うことになったんです。」


「待ってください!あっちは女子校なんですよね?ならなんで男子の私がいくのですか?」


思っていた疑問を校長先生に言ってみた。


「・・・・あちらの高校は男子を編入させようとする動きがありまして、そのお試しにと貴方が選ばれました。」


「それって・・・・拒否権ありますか?」


いやまぁ流石に拒否権ぐらいあるだろう。


「勿論、ないです。」


ない?ないの?拒否権?いや、別に普通の高等学校だったら別にこんなこと聞かないんだけど女子校はダメだろ!倫理観的に!


「あと、出発は明日ですのでよろしくお願いしますね。」


「はい。」


多分この時俺は血涙を心の中で流していた。





校長先生に連れられ、校門前に戻って来た。


「あぁ、それと私があげたあのお守りキチンと持って行ってくださいね。」


「はい、わかりました。」


「それでは頑張ってくださいね。」


「はい。」


そして、学校を後にして家に帰った。






「ただいまー。」


「おかえりー。」


妹がソファでくつろぎながらテレビを見ていた。


「どうだった?」


「明日から熊本に行くことになった。」


なんでこんな転勤する前の話みたいになっているのか?


「え?明日・・・・から?」


「うん、明日から。」


「え・・・・本当に?」


「本当に。」


「早くない?」


「俺もそう思う。」


火燐は何故か絶望したような顔をしていた。


「でも、1日に一回は電話するんだろ?」


「そ、そうだね。なら大丈夫かな。」


「それじゃ、俺は部屋に戻って支度してくる。」


「分かった、昼ご飯の時間になったら呼ぶね。」


「分かった。」


そう言って、俺は部屋に戻った。


「最悪こっちから出向けば良いだけだからね。変な女作ったら容赦しないからね。」




「準備といっても、下着と上着、ズボンとかだからな、最悪あっちで買えばいいか。」


そういえば行くところの高校なんも知らんな。調べるか。


スマホを取り出して、行く高校を検索してみた。


「・・・・あった・・偏差値たっか!」


偏差値70って頭良すぎだろ・・・・俺のところ50ぐらいだぞ。20も差があるのか・・・・ついていけるのか?


・・・・まぁ、一ヶ月間だけだから大丈夫だろう。さて、荷造り続けるか。


そんな不安を払拭しようと荷造りに集中した。







「お兄ちゃーん!!ご飯出来たよー!!」


もうそんな時間か。


荷造りに集中していたせいか普段より時間が過ぎるのが早く感じていたようだ。


火燐に今行くと、声をかけて下へ向かった。



「あ、お兄ちゃん、料理運ぶから早く座って。」


「分かった。」


椅子に座る事数十秒、次々に料理が運ばれて来た。


「ハンバーグなんて珍しいな。いつも和食とかなのに。」


「偶には他の料理も作っとかないとね。作り方忘れても困るし。さっ、そんな事より、早く食べよう?」


「そうだな。」


「「いただきます。」」


ハンバーグを箸で切って、米と一緒に食べた。


肉の味がとブラックペッパーの味がいい感じに調和しておりとても美味い。


「ねぇお兄ちゃん。ちょっといい?」


「ん?どうした?」


「お兄ちゃんが行く高校ってどこなの?」


「・・・・天原女子高等学校。」


「えっ!女子高!?」


「うん。」


「な、何で・・・・?」


「まぁ、色々理由あると思うけど、あっちが男子を編入させようとする動きがあって、その試験的な感じで俺があっちに行く。」


「へ、へぇ〜。」


「心配することといえば・・・・偏差値が70もあるってことぐらいだ。」


本当、何であんな高いんだろうか。せめて55ぐらいだったら何とかなるかもしれないのに・・・・。


そんなことを思いながら料理に舌鼓を打っているとチラチラとこちらを見る視線を感じた。


「どうした火燐?さっきからこっちをチラチラ見てるけど?」


「べ、別になんでも無いけど・・・・ただ、寂しくなるなぁ〜って。」


確かに一ヶ月だけとは言っても家に1人しかいないのか・・・・。


「いや、そこまで心配しなくて良いよ!一ヶ月後に帰って来たらたっぷり甘えるから覚悟しててよね!お兄ちゃん!」


火燐はそう言ってニコッと笑顔を見せた。それを見て不覚にも若干ときめいてしまった。















そして翌朝、午前8時50分頃に空港に着いた。


「えっと熊本空港行きは・・・・9時15分か。チケットはさっき校長先生に貰ったし、 ・・・・よし、行くか。」


熊本行きの飛行機がある場所まで歩いて向かった。




「ふぅ〜何とか乗れたな。」


さて、持って来た胃薬を飲むか。うぅ、女子高とか絶対胃やられるからな。2箱持って来たしまぁ、2週間ぐらいは持つだろう。


胃薬を飲み終わったところでアナウンスがなった。


「そろそろ出発か。」


窓に目を向けると綺麗な景色が目に映った。


「この景色ともしばらくお別れか。」


そんなしみじみとした感覚に襲われた。


そうこうしているうちに飛行機がフライトを開始した。


「一ヶ月頑張るか。」


そう言って目を閉じて夢の中に意識を落とした。

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本当の姿を見れるメガネをかけたら、関わっていた人達が人間じゃなく病んでいた件 かいさんたらこ @FUOGTK

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