メガネをかけ、2人目の友人を見る下①

チュン チュン

 

「んっ・・・・もう朝か。」

 

時計を見ると時刻は午前6時だった。

 

「今日の予定は・・・・。」

 

怠蘭の買い物に付き合う・・・・だけか。確か9時に駅前だったから30分前ぐらいに着いてれば良いか。

 

布団から出て一階に降りて行った。

 

 

 

 

 

 

「下に降りてきたはいいがすることないな。」

 

・・・久しぶりにテレビでも見るか。

 

椅子に座りテレビをつけると天気予報が目に入った。

 

「今日の午後は雨か・・・・。一応折り畳み傘持って行くか。」

 

そうしてテレビのニュースを眺めていると後ろの方から階段の降りる音が聞こえてきた。

 

そして居間のドアが開かれた。

 

「あれ?お兄ちゃん起きてたんだ。」

 

「おう。ついさっき起きた。」

 

「じゃあ・・・・今から料理作った方が良い?」

 

「いや早すぎるでしょ。まだ良いよ。」

 

「そっか。分かった。」

 

そして火燐は俺の正面の椅子に座った。

 

テレビでは丁度星座占いをしていた。

 

「星座占いか。久しぶりに見たなぁ。」

 

「お兄ちゃんテレビあんまり見ないもんね。」

 

そう言って妹はこちらを見ていた。

 

「だってスマホで事足りるじゃん。」

 

「確かに・・・・・あっ、お兄ちゃん占い始まるよ。」

 

そう言われてテレビを見た。

 

『一位は天秤座の方です。天秤座の方は友達との関係がより深まり、さらに親交を深める事が出来そうです。』

 

「やった。一位じゃん。」

 

なんか一位だと嬉しいよな。

 

「おめでとうお兄ちゃん。」

 

「ありがと。そういえば火燐は何座だっけ?」

 

「私?私は・・・・確か魚座だったはず。」

 

「魚座か・・・・何位なんだろうな。」

 

「さぁ?分かんないけど高い順位が良いなぁ。」

 

テレビを見ているとみずがめ座、獅子座と順々に紹介されていった。

 

あれ?これは・・・・

 

『12位はごめんなさい魚座の方。何をやるにしてもあまりうまく行かない事が多い1日になります。そのため、人と関わるときは少し距離を置いたほうが良いでしょう。』

 

火燐の方を見ると、

 

「べ、別に〜占いとか〜信じてないし〜」

 

コップを持つ手がプルプルと震えており今にも割れそうだった。

 

「じゃあ何で手が震えてんの?」

 

「い、いや、なんて言うか、その〜・・・・ちょっとトイレ行ってくる。」

 

逃げたな。

 

「あぁ、行ってらっしゃい。」

 

火燐は少し足速でトイレに行った。

 

ふと火燐のコップを見てみたら掴んでいた所が熱で変形していた。

 

「変形してる?え、でも、確かガラスって摂取400℃ぐらい耐えるって何処かで聞いたけど・・・・。」

 

それに、部分的な温度差が数十℃の差があれば割れるとスマホで見た気がする。

 

「何が起きたんだ?」

 

そうしてるうちに火燐が帰ってきた。

 

「ん?どうしたの?お兄ちゃん。」

 

「あぁ、いや何でもない。」

 

「それなら良いけど・・・・それじゃ、そろそろ朝ごはん作るから待っててね。」

 

「分かった。」

 

トントントンと包丁で何かを切っているような音を聞きながらテレビを見ていた。

 

その番組にも飽き、別の番組に変えようとしたら、

 

「いった!」

 

「大丈夫か?」

 

「大丈夫。ちょっと指切っちゃっただけだから。」

 

少し切れた人差し指を見せて、絆創膏を探して色々な物が入っている箱から絆創膏を探した。

 

「あった。お兄ちゃん、絆創膏貼ってくれない?」

 

「別に良いぞ。」

 

妹から絆創膏を受け取り、人差し指に丁寧に貼った。

 

「出来た。」

 

「ありがとうお兄ちゃん。」

 

そう言って火燐は台所に戻って行った。

 

そしてまた、料理を再開する音が聞こえた。

 

 

 

 

それからさっきのような出来事はなく、朝食が出来上がった。

 

 

「お兄ちゃん、出来たよ!」

 

「分かった。」

 

テレビを消して料理のあるテーブルまで行った。

 

席に座り料理を食べ始めた。

 

「「いただきます。」」

 

目玉焼きに醤油をかけて食べた。

 

相変わらず美味しいな。そんなことを思いながら食べ進めた。

 

でも、なんか・・・・味噌汁の味がおかしいような・・・・?まぁ気のせいか。たまに口の中が鉄の味がすることあるしそれだろう。

 

「「ごちそうさまでした。」」

 

「片付けはこっちでやるから行く準備してて良いよ。」

 

「ありがとな。」

 

そう言って洗面所まで向かった。

 

「はぁ!はぁ!・・・お兄ちゃんが使った箸・・・舐めるとお兄ちゃんの成分が私の中に入ってくるのを感じる!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一通りの準備を済ませた後、時間に少し猶予があったので少し前に古い本屋で見つけた本を見た。

 

「古本屋で手に入れたけど・・・・面白いのかな?」

 

名前は・・・・

 

【クトゥルフ神話】

 

「クトゥルフ神話なんて、そんな神話あるのか?」

 

疑問に思いながら本を1ページ開いた。

 

最初のページに出てきたのは【ミ=ゴ】と言われる生物だった。

 

「なんだコイツ?気持ち悪い見た目してるな。」

 

甲殻類の見た目に頭に花?みたいなものがあり蝙蝠みたいな翼をして、鋭利な爪があり、全体的にエイリアンに近いと思った。

 

ミ=ゴの見た目に不快感を覚えた。本能的な拒絶という物をコイツから感じた。

 

そんな感じでペラペラ見てると下から呼ぶ声が聞こえた。

 

「お兄ちゃん!そろそろ行かないと間に合わないよ!」

 

そう言われて焦って時計を見ると時計の針が8時30分を指してた。

 

「やばっ!残りはあとで読むとするか。それより、早く行かなきゃ!」

 

そう言って本を閉じ、足速に家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お兄ちゃんが家を出てから30分が経ち、お兄ちゃん成分補給のため、部屋に行った。

 

「早くお兄ちゃんの匂いにくるまりたいな〜♪」

 

上機嫌な気分でお兄ちゃんの部屋に入った。

 

そして、お兄ちゃんのベットにダイブしようとした時、一冊の本を見つけた。

 

「なぜこの本がここにある。」

 

自分でも驚く程低い声が出た。

 

【クトゥルフ神話】と書かれた本・・・・いや

 

「【ネクロノミコン】どうしてお兄ちゃんの部屋に・・・・?」

 

そんなのこの地球にはなかった筈だ。

 

まぁ、いい。とりあえず燃やしておくか

 

手から500℃は優に超えるであろう炎が手から出された。

 

本は一瞬の内に灰になった。

 

「ふぅ、これで一安心かな?」

 

これで私たちの存在がばれるようなことはない筈だ。

 

そして、目的であった成分補給をしようとベットにダイブした。

 

「あぁ・・・・・・・・」

 

全てがどうでも良くなるかのような何もかも包み込んでくれるようなそんな匂いがした。

 

そして、布団にくるまりながらゴロゴロしていると、何か物を落とした。

 

何かな?と思って顔をヒョコンと布団から出して見てみるとメガネだった。

 

「お兄ちゃん目悪かったけ?」

 

さっきの【ネクロノミコン】のこともあるし、少し慎重になってメガネを取った。

 

そして眼鏡をかけた。

 

「・・・・普通のメガネだね。」

 

安心して眼鏡を外そうとした。

 

メガネに手をかけた途端、鏡が目に入った。

 

「メガネをかけてイメチェンとかしたらお兄ちゃんの反応が気になるな〜」

 

そう思い、メガネをかけたまま、鏡を見た。

 

そこには人としての姿ではなく怪物の姿をした自分が映し出された。

 

「っ!」

 

急いでメガネを外して、鏡を見た。

 

そこには人としてのクトゥグアではなく佐藤火燐としての姿が映し出された。

 

「このメガネ・・・・何かおかしい・・・・」

 

何故、神話生物としての姿が映される?

 

何故、人としての姿が映らない?

 

そんな言葉がグルグル頭の中を巡った。

 

「このメガネも燃やしておくか。」

 

そしてまた炎を出し、メガネも灰になった。

 

「なんか今日は変なことにあうな〜。少し部屋に戻って休もうかな。」

 

そして、お兄ちゃんの部屋を出て自分の部屋へと戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

佐藤火燐がいなくなった後、灰となった筈の【ネクロノミコン】とメガネが灰になる前まで戻っていた。

 

100m程離れたビルの屋上から老人が一部始終を見ていた。

 

「ふむ、やはり、他の奴には普通のメガネとして認識阻害をかけたが神話生物となってくるとそうもいかないか・・・・。」

 

老人は少し考える仕草をした。

 

「仕方ない、佐藤健二以外の他の神話生物が眼鏡をかけても普通のメガネとしか認識されないようにする必要があるな。」

 

そう言って老人は手から光を出し、メガネに何か術をかけた。

 

「これで大丈夫だな。それ、健二の元へと飛んでいけ。」

 

そして、メガネは瞬間移動をした。

 

「【ネクロノミコン】少し前に古本屋に売ったのがまさか健二に渡るとは・・・・運命とは不思議なものよ。」

 

あの【ネクロノミコン】は壊されても復活するよう術をかけておったな。あれはあのままで良いか。

 

老人は立ち上がりてすりまで移動した。

 

「これからも楽しませてくれよ?健二くん?」

 

老人であったはずの姿は20代ぐらいの若い女になっていた。その目は新しい玩具を見つけた子供のような顔だった。

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