メガネをかけ、2人目の友人を見る中
「え〜それじゃあ〜健二は早退したんですか〜?」
私は健二が居ないことを生物の担任である宇水先生に聞いた。
「そうだ。」
「え〜、何で早退したんですか〜?」
「・・・・"健二くんは頭が痛くて早退する"と初香先生は言っていた。・・・というか、もう少しで昼休みが終わる。早く教室に戻れ。」
「は〜い。わかりました〜。それじゃあ〜失礼しました〜。・・・・健二くんは私が貰いますね?」
そう言って私はドアを閉めた。
「・・・・は?なにを言ってんだ貴様?お前如きに渡すわけがないだろう?っておい、話を聞いてるのか?おい!
タッ タッ タッ
怒号が聞こえる中誰もいない廊下を歩いて自分の教室まで戻って行った。
帰る途中に窓の縁に頬杖をつきながらボーっとしている瑠衣がいた。
何だろう?と思って近づいてみた。
「やぁ〜やぁ〜ニャル、元気か〜い?」
「ここでは瑠衣って呼ばれてるんだからそっちで呼べ。」
こちらを睨みながら言った。
「ところで〜今日機嫌悪くな〜い?どうしたの〜?」
「機嫌悪いわけではない。ただ教室の男共がやけに馴れ馴れしいから逃げてきただけだ。」
「でも〜、一番は〜健二が居なくて〜機嫌悪いんじゃな〜い?」
「・・・・そ、そんな事はない。」
そう言った瑠衣は図星を突かれたような顔をしていた。
「と、というか昼休憩が終わるだろ。そろそろ戻るぞ。」
「は〜い。」
瑠衣の後ろをついて行った。
教室に戻った瑠衣を見てみるとクラスの男子にゴミを見るような視線を送っていた。
「〜〜〜で〜〜だから〜〜こうで〜〜・・・・。」
つまんない先生の話を聞きながらノートに板書されたものを書き写す。
これだったら、自習室で勉強してた方がよっぽど有意義だな〜。
そう思い席を立って少し大きな声で先生に言った。
「先生の授業つまらないので〜自習室で勉強してきま〜す。」
自分の机の中から勉強道具を出して自習室へ向かった。
教室を出る時に先生の声が聞こえた気がしたが無視した。
自習室に来てみるとまだ授業中だからなのか人は誰も居なかった。
窓際の席に座って教室からこっそりと持ってきたスマホで健二に電話をかけた。
コール音が自習室に響き渡る。
コールが終った瞬間健二に向かって話しかけた。
「もしもし〜。今元気〜?」
『元気だけど一体どうしたんだ?今授業中だったよな?』
あぁ!!今一番聴きたかった声が聞こえた!
「ん〜?面白くないから抜けた〜。」
『先生には何て言って抜けたんだ?』
「たしか〜、"先生の授業つまらないので〜自習室で勉強してきま〜す"だったような〜。」
まぁ、つまんなかったし〜仕方ないよね〜。
『じゃあ、今は自習室にいるんだな?』
健二の呆れたような感じの声で言った。
「うん。そだよ〜。」
『で?何で電話してきた?』
それは健二の声を聞きたいから・・・・と言おうとだけど恥ずかしくていえなかった。
「暇だったから声をかけたの〜。」
『はぁ。ったく、全くそんな理由かよ。』
「これが私だからね〜。しょうがないよ〜。」
『じゃあ俺、今からゲームするから電話終わるな。』
え・・・・もう終わり・・・・そんなのダメ!何か・・・・何か・・話題は・・そうだ!瑠衣のことがあった!
「えぇ〜もっと話そうよ〜。」
『これ以上話のネタもないだろ。』
「ん〜?あるよ。君が帰った後の事とか〜。」
『俺が帰った所でなにが変わるんだよ。』
「ん〜とね〜。」
「瑠衣がね〜ずっ〜と不機嫌だったんだよ〜。」
『瑠衣が?・・・それは一体どうして?』
「ん〜。私にも〜よく分からないんだよね〜。話しかけてきた男子に〜ずっ〜と侮蔑の視線を向けていたんだよね〜。」
『侮蔑て・・・・どうしたんだろうなアイツ。』
本当は健二がいなくて寂しいだけなんだけどな〜。ここは適当に言うか〜。
「多分〜健二が〜帰ったのが関係あるんじゃな〜い?」
『俺が帰ったのが・・・・?』
まぁ、健二のことだし少しは理解出来るでしょ〜。
『・・・・分からん!』
流石に少しぐらいは理解しようよ〜。
「そうだよね〜。まぁ〜瑠衣の事だし〜大丈夫でしょ〜。」
まぁ、ニャルは少しの事では動じないし・・・・大丈夫でしょ。そんなむかついた程度でクラスの男子を殺そうとはしないだろう。
・・・・そうだ!いいこと思いついた。少しみんなより健二との関係を少しでもリードしたいからデートのお誘いでもしてみようかな〜?
「それよりさ〜明日って暇〜?」
『暇だけど、何でそんなこと聞くんだ?』
「ちょっと〜行きたい場所があるから〜一緒に行かない〜?」
『あぁ、良いよ。それで何時にどこで集合するんだ?』
「やった。それじゃあ〜午前9:00に〜駅前で集合ね〜。」
小さくガッツポーズをして喜んだ。
『分かった。それじゃまた明日な。』
「うん〜。分かった〜また明日〜。」
そして電話を終えた。
「明日が楽しみだな〜。」
どんな服着て行こうかな〜?どんな所に行こうかな〜?
そんなことを考えてると6時間目が終わるチャイムが鳴った。
「もう放課後か〜。やっぱり、楽しい時間は早くすぎるな〜。」
持ってきたはいいけど手をつけてない勉強道具を持って教室へ戻って行った。
放課後になり帰ろうと廊下を歩いていたら、前に瑠衣がいた。
なにしてるんだろう?と思って声をかけた。
「やぁ〜また会ったね〜瑠衣〜。」
「貴様か・・・・どうした?」
「いやぁ〜1人で帰るのも何だから〜一緒に帰らな〜い?」
「・・・・まぁ、たまには良いか。」
「それじゃあ〜行こ〜。」
2人で昇降口まで歩き外に出た。
2人で歩いていると信号待ちにあってしまった。
暇で辺りを見回していると見知った顔がいた。
「あ〜あれは、健二の妹じゃないか〜。」
健二の妹である火燐が
「何?・・・・チッ、アイツか。」
「あ〜確か君たち仲悪かったよね〜。」
「アイツが私の縄張りであるンガイの森を焼き払ったからな。」
彼女がこちらに気付き歩いてきた。
「お久しぶりです。瑠衣さん。怠蘭さん。」
「久しぶり〜。」
「お前とは会いたくなかったけどな。」
「そんな事言わないでくださいよ。」
2人とも笑顔だけど〜目が笑っていないな〜。
「ところで〜こんな所で何をしてるの〜?」
「夕飯の買い物ですね。」
「へぇ〜偉いね〜。」
「ありがとうございます。」
「料理とか〜作るの〜?」
「えぇ、兄さんに手料理を振る舞うことが私の生きがいなんで。」
そうだった。この子も敵だったな〜。
「それしかお前の生きがいはないのか。可哀想だな。」
ちょっと瑠衣!火に油注がないで!
「あ゛?お前はそれすら出来ないだろ。」
「勝手に決めつけないでくれるかな。私だって手料理ぐらいは出来るんだけど。今度健二に振る舞う予定があるから。」
「お前が作った料理を兄さんが食べたら、兄さんが汚れてしまうのでやめてください。」
あ〜、これはちょっとやばいかもな〜。
「お前今ここで殺すぞ。」
辺りに瑠衣の殺気が充満した。
「へぇー、やれるものならやってみて下さい。一般的に貴女の天敵と言われてる私を倒すことが果たして出来るんですかねぇ?」
火燐の殺気が瑠衣の殺気とぶつかった。
これは止めないとまずいかな〜?
周りを見るとこちらを見て恐怖で震えてる人が結構いた。
このままじゃこの地域が危ないと思い、急いで仲裁に入った。
「ちょっと2人とも〜。こっちを見てる人が多いからやめてよ〜。」
「チッ、しょうがない。ここは矛を収めてやろうではないか。」
「ええそうですね。そろそろ私も買い物行かないと、夕飯が遅れるのでそれでは失礼します。」
「じゃあ〜ねぇ〜。」
火燐を見送った。
そこから少し歩いて丁字路に着いた。
「じゃあ私はこっちだから。」
「うん。分かった〜。また来週〜。」
瑠衣と分かれて家に帰った。
「ふぅ〜今日は疲れたな〜。」
でも明日はデート!
「楽しみだな〜。」
風呂に入って夕飯を食べて、明日に備えて早くに就寝した。
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