メガネをかけ、近所のお姉さんを見る

「ただいま〜。」

 

やっと着いた。

 

「そうだ、昼飯を食べないとな。」

 

冷蔵庫に何があったっけ?

 

確か朝に火燐が冷蔵庫の中身がなくなったから買いに行くって言っていたような気がするな。

 

まさかな。何にもないなんてことはないよな。

 

そう思いながら居間まで行き、冷蔵庫を開けた。

 

冷蔵庫の中は空っぽだった。

 

「まじで?今からコンビニ行くの?めんっどいんだけど。」

 

どうしようかと悩んでいる時にインターホンが鳴った。

 

ピンポーン ピンポーン

 

何かな?

 

「はいはい!今行きます!」

 

そして、玄関まで行き、ドアを開けた。

 

そこには女性が立っていた。

 

「こんにちは、健二くん。」

 

「あぁ!お久しぶりです。黄凛さん。」

 

彼女の名前は神崎黄凛。近所に住んでる人で、たまに髪色で外国人に間違えられるが英語は苦手らしい。

 

「というかどうしたんです?こんな平日の昼間に?」

 

「貴方が学校を早退したのを噂で聞いたから調子はどうかな?って聞きに来たのよ。」

 

え?俺が早退したら噂になるの?なんで?

 

「まぁ、なんで噂になっているのかは聞かないでおきます。・・・・で、いったい何しに来たんですか。」

 

「ん?良ければお昼どうかな?って思って。」

 

これはありがたい申し出だな。

 

「あー、じゃあ、お願いします。」

 

「おっけ!それじゃ私の家にしゅっぱ〜つ!」

 

「えっ、ちょっと!いきなり抱えないでください!歩けます!俺1人で歩けますって!」

 

「いいからいいから。」

 

「うわぁぁぁー!!」

 

そして俺はドナドナされた(泣)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結局黄凛さんの家まで抱えられていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ、なんでこんな疲れているんだ?」

 

「全く、体力を使わせないように抱えてあげたのに。」

 

そうだったのか。

 

「それはすみません。」

 

「まぁいいけど。それじゃ中入ってね。」

 

「分かりました。」

 

黄凛さんの家に入り、奥の居間まで歩いて行った。

 

「それじゃ料理持ってくるから待っててね。」

 

「作ってたんですか?」

 

「うん。なんだか1人増えそうな予感がしたからね。」

 

すげぇな、予感があたってる・・・・!

 

「じゃ、待っててね〜。」

 

そう言って黄凛さんは奥のキッチンに行った。

 

「そういえばメガネ試してなかったな。」

 

やりたくないが好奇心が抑えられない!

 

そしてポケットからメガネを取り出した。

 

メガネをかけそーっと隙間から黄凛さんを見た。

 

そこには、

 

黄色い布を纏っていて、周りには触手がいくつも蠢いていた。

 

名前は・・・・ハスター

 

ハスターか。かっこいい名前だな。というか、もう見ても何も感じなくなったな。俺の精神が壊れたか?

 

そして、前回の反省を活かしてバレる前にメガネを取り、元の場所に戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから少し待っていると料理を持った黄凛さんがやってきた。

 

「お待たせ〜。」

 

「おぉ!焼きそばですか!」

 

「うん。この前食べたいって言っていたよね。」

 

「ありがとうございます!」

 

早速別の皿に焼きそばを乗せ割り箸を割った。

 

「いただきます。」

 

麺を掴んで勢いよく吸ってたべた。

 

ソースの濃さが薄くなく、でも濃くなく、ちょうど良いぐらいの濃さで麺に絡んで美味い!

 

そして、野菜と肉を一緒につかんで口に運んだ。

 

野菜も水っぽくなく、シャキシャキしていて、肉もソースがからみすぎてなく、肉の旨味がしっかりとわかるぐらいの濃さで野菜と合わせると旨みが増加する!

 

「美味しいです。黄凛さん。」

 

「ふふっ。それはよかった。」

 

この至高の料理を食べ終わるまで味わい続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ごちそうさまでした。」

 

「どういたしまして。」

 

「・・・・そうだった!健二くんに聞きたい事があったんだ。」

 

「ん?なんですか?」

 

聞きたいことってなんだろうか?

 

「健二くんの担任の先生って誰だっけ?」

 

「海部宇水先生ですけど・・・・それがどうかしました?」

 

「っち、アイツか。・・ううん。ちょっと気になっただけだから。」

 

変な事を聞くんだなぁ。そんな担任って気になるか?

 

そういえば今は何時だ?

 

針は午後1時を指していた。

 

「それじゃ、俺はそろそろ帰ります。」

 

「ええ、美味しそうに食べてくれて嬉しかったわ。」

 

「いえいえ、そんな。」

 

「それじゃ、またね。」

 

「はい、それじゃあ、また。」

 

ドアを閉めて、自分の家に向かって歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、健二の担任がクトゥルフだったとはな。」

 

まぁ今のところは大丈夫だろう。しかし、健二の体少しおかしかったな。純正なヒトではなく、不純なモノが混ざっていたような。

 

・・・・そのうち分かることか。

 

まぁ、健二の胃袋を掴んでいるのは私だろう。そして、いつか私なしでは生きていけなくなるまでに依存させればいいか。

 

「楽しみだな。健二が私に依存してくれるのが。あぁ、でも逆も捨てがたい。私が健二に依存して飼われるっていうのもいいな。」

 

あぁ、その時が楽しみだな。

 

黄衣の王は嗤った。不気味な笑みを浮かべ、その裏には歪な思想を持ち、健二のことを見ていた。

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