第24話 準備室

「てかあるじゃん!チェックして!まじで!」

「…ナイ」

「ほら!見て!ウチ今からコレ入れるし!いい!?入れるよ!?」


 ポコッ


「ほら!まじ入ったしー!」

「…ナイ」


 ボンコがジンタイの腸を、出したり、見せたり、入れたりして揉めている。

 腸以外の他の内臓が落ちていないか、しゃがんで床を見てみるけれど、美術室には内臓っぽい塊は無さそうだった。


「ジンタッ!もうっ!全チェックするしっ!てか全部出すしっ!」


 え…


 ボンコが内臓を1個ずつ取り出していく。

 思ったよりも数がありそうだ。

 大丈夫なのだろうか…

 元に戻せるのか…


 全部出しきった内臓を、手際よくポコポコとはめ込んでいく。

 心配無用だった。

 さすがボンコ。


「えー?てか全部あるしー…」


 迷いなくスムーズにはめ終え、最後の腸を手に持っている。


 ん?


 ポコッとはめ込んで完成した。


「ナイゾーガ…チョットナイゾー」


 チョット…


「は!?まじ全部あるしー!てかジンタ!センサー系こわれたんじゃない!?」


 センサー…


「ボンチ…ちょっと腸をチョーッと見せて欲しいんだけど…腸…チョウッと…チョーチョーッと…」


 ボンコが白目で、腸をグリグリ押し付けてきた。


 なんだよう…

 誰だって自分の中のオヤジが押さえられない時はあるだろ。

 ボンコの中のオヤジの方が自己主張強めだぞ。

 こちらのオヤジは可愛いもんだ…




 あ…


 さっき、少し気になったのだけれど、やっぱり欠けていた。


 ボンコがキャッチし損ねた時に、欠けたのかも知れない。


 準備室の床をよく見てみると、奥の方に腸と似た色の小さな欠片の様な物があった。

 拾って合わせてみるとぴったりだ。


「あ…どうも」


 接着剤を受け取って、ボンコの元へ戻る。


「ボンチ…腸…チョーッとだけ欠けてた…」

「え!?まじでー!?」


「……………こ…これ……」

「サンキュ!」


 ボンコは、接着剤を手からスッと抜き取り、腸にチョイチョイチョイと塗って、差し出したまま固まっている手にスッと戻してきた。


「まじカンペキー!てかぎゃくに新品系ー!」


 ジンタイに、修復した腸をポコッとはめると…




「…アル」


「あるー!!ウェーイ!!」


 ジンタイは静かになって動かなくなった。

 そして、自分も静かになって動けなくなっていた。


「え!?てかゲリチ!?」

「…これ…もらった…」

「そうなんだー!てか誰にー!?」

「分かんない…」

「えー!?どういうこと!?てか…いつ貰ったの!?」

「今…」

「は?いま?どこで?」

「そこで…」


 後ろの準備室、奥を指差した。


「はあ!?」


 ボンコの後ろに回り込んで、盾の様にして覗き見ると…


 机の下に、膝を抱えた少女が座っていた。

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