第10話 答え合わせ

 ワラレルワールドンに慣れつつある。


 ボン子もアタウちゃんが消えたのを見ていたはずだけれど、普通に教科書を見ている。

 お菓子を食べながら…


 フジミヤは、髪をいじりながら教科書を見ている。

 ササクラは、ペンを回しながら教科書を見ている。

 シゲヤマは、足を組んで上履きをパタパタさせながら教科書を見ている。


 G4が…

 自習している…

 この人達…

 本当に勉強している…


 アタウちゃんの顔がお面みたいだったり消えてしまったりしたのは勿論、驚いたのだけれど、G4が自習を真面目にやっている事の方が衝撃が大きかった。

 知らなかった…

 いつも通りの自然体で、何気なく座っているように見えるけれど、物凄く集中しているのが分かる。

 ボン子にメモを見せて貰おうと思ったけれど、邪魔をしてはいけない様な気がして、話しかける事が出来なかった。

 G4の周りだけに静かな気迫が漂っているのを感じて、自分との違いを思い知った。


 チャイムが鳴って、授業の時間がもう終わってしまった…


 ボン子がこちらに振り向いて、何か言おうとしている所へG3達が来た。


「ボンちゃん体調悪い?」

「大丈夫!…てかさっき!…アタちゃんヤバくね!?」

「ヤバいよねー!まじユカタうらやまー!」

「……」

「てかウチもユカタ着たいしー!」

「アーシじべい系かなーぎゃくにー!」

「あーそっち系いいねー!」

「てかじべい系のがぎゃくにラクだしー!」

「わかるー!」


 分からん…

 ジベイケってなんだ…


 ボン子がこちらを見ている。


 まじどうなってんのー?


 分からん…

 浴衣…

 確かに浴衣も驚いたけれど、そんなの霞む程にアタウちゃん自体が霞んでいた。

 浴衣の事より、透けている事の方が絶対ヤバい。

 顔、変だったし…

 消えたし…


「てか!…アタちゃん!…まじ透明なったし!」

「まじ透明感ハンパないよねー!」

「てかぎゃくに白すぎー!」

「まじ白系ー!」


 たまらず自分も会話に割り込んだ。


「アタウちゃん…顔が変だったよね…お爺さんの能面みたいな…」

「顔まじお爺ちゃん系だよねー!」

「てかアタウちゃんまじ何歳なんだろー!」

「昔はぎゃくに美男子系だったらしいよまじでー!」

 ギャハギャハギャルギャハ…

「……」


 ボン子が顔面で訴えてくる。

 ゲリちぃ…

 アタちゃん顔ヤバかったよね?消えたよね?


 うん…

 深く頷いた。


 やっぱりG3達には話が通じない。

 とにかく、この3人は戦力外だ。

 今のところボン子と2人で戦っていくしかない。

 何と戦えば良いのか分からないけれど…


「てかゲリピー治ったー?」

「う…うーんまだほんのり…岡リが薬くれるって言ってたから貰おうかな…」

「へー」

「てか岡リってゲーちゃんには優しいんだー」

「ウチ苦手系ー」

「アーシもダメーてか怖い系だしー」


 え?


「顔とかぎゃくに魔女って感じー」

「わかるーまじ魔女ーてかぎゃくに毒リンゴ系ー」


 毒リ…


 え?

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