残り物

『待ってよ……っ』


『大丈夫、君はひとりでもきれいな色をしているよ』


私と彼は、生まれも育ちも、ずっと一緒だった。

親から離れた後もずっと一緒。一度たりとも離れたことはなかった。


それなのに……。


私は、ひとり、残されてしまった。

何故かって、恐ろしい巨人に襲われたの。


そいつは、綺麗に彼だけをはがして分解し、食べていった。


思い出すのも恐ろしい。


でね、私はというと、暗くて、においが強烈なところに入れられた。

でも、同居している皆は、私と同じで残された人々。

すぐに打ち解けた。

でも、その幸せも崩れた。


数日後に、私たちは、目の前の炎に放り込まれることになったの。




うふふ。おいしそー。

よだれを垂らしそうになってこらえる。


むふふ、実家から送られてきた、高級ミカン、堪能します!


皮をむきむき……あれ、このミカン取りずらい……。

でも皮も綺麗な色……。

果実の部分をほぐして食べて、皮は燃えるごみに捨てた。

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