それは、決して結ばれることのない物語であった。
いなずま。
寒い日
『梨右……』
『左雄……』
絡み合う二人。
彼らは、別れたりやり直したり、とても難しいカップルだった。
が、別れる時でさえ、二人は想いあっていたのだ。
服装は、まったく同じコーデ、ペアルックである。
『『あっ―――』』
僅かな幸せは、唐突に終わりを告げる。
彼女らは、振り下ろされるとともに、左右に引きはがされた。
その時、彼らは深い悲しみに陥る。しかし、また数分後に、奇跡が起きると信じ、今も想いあっている。
「あー寒い寒い」
顔が一つ、目が二つ、口が一つ、鼻が一つある生物は、二つしかない手の指を絡ませ、ほどき、また震えたのなら、もう一度手を交じわせた。
手をほどいた時、なぜだか罪悪感があるのは、なぜだろうか。
手袋を見つめた人間は、不思議に思った。
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