66話 ペットボトルのお茶

約一時間過ぎた処で休憩することになった。そこで雄一は予め用意して置いた。揚げパンを出してきた。約十個ある。それを半兵衛などランドクルーザーに乗っている者たちに差し出した。

「お役人さま、これが例の揚パンです。どうぞ召し上がって下さい」

「お~それは有難い、土産に買って帰ろうと思っていたが、まず役目を優先するため。今回は諦めておったのじゃ」

「ほうそれなら、お役人さま、別にこれをお土産になさって下さい」

「お~かたじけない。これは家族に良い土産になりそうじゃ有難く頂戴いたす」

「ほう秋山様はお子様に何人おられます」

「六人で御座る。これを持ち帰ったら大喜びする顏が浮かぶようじゃ。処で佐伯氏は何人おられるのじゃ?」

「私ですが、まだ一人者です」

「なんと拙者により年上に見えるが、まだ一人とは」

「ハイ私の時代が三十歳でも早いくらいで、しかしそろそろし考えた矢先に異次元に飛ばされて」

「それは気の毒にのう。拙者で出来る事なら何なりと力になりたいが」

「それはありがとうございます」

更に雄一はペットボトルのお茶を差し出した。もう既に買い置きのペットボトルのお茶は無くなっていたが、空いたペットボトルにお茶を沸かして冷やしペットボトルに入れ冷凍庫で凍らせておいた。これは家を出る時に準備しておいたものだ。これで数時間後に丁度、冷えて飲み頃になる。

「おや、これはなんで御座るか?」

「これは普通のお茶で、持ち運びに便利な物に入れ代えたものです」

半兵衛はペットボトルを受け取った瞬間驚いた。物凄く冷たいのだ。進められた通りキャップを開け一口飲んだ。

「なんと冷たいお茶じゃ。冷めたお茶がこんな美味い物か、しかもこのお茶は特別に美味い。佐伯殿は、噂通りの未来人かも知れぬ」

「その未来人扱いに困っております。噂が広がればどうなるか」

「なるほど、それはお任せ下さい。拙者が責任をもってお守りいたす」


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