59話 木綿屋との別れ
「ご主人、どうしましたか」
「佐伯さま、お城からお役人がお見えになりまして、お殿様が是非とも、お会いたいとのことで御座います」
「えっ城ですか……」
雄一は城の侍と聞き嫌な予感がして来た。一回目のタイムスリップの時、侍に囲まれ慌てて逃げた記憶が蘇る。しかし何れは知れると思っていた。もはや避けて通れない時が来たようだ。雄一は一時、木綿屋を離れる事になる。これまでのお礼として、また新たしい料理を伝授した。それは炒めごはん、つまりチャーハンである。多少不味い米でもチャーハンなら美味しく食べられる。作った物を試食して貰ったら評判がいい。さっそく作り方を伝授した。個人で食べるも良し、また商売として飯屋として売るも良し。喜んだ大戸宗右衛門はさっそく飯屋の小屋を建てた。雄一も宗右衛門には本当に世話になったし、最後のお礼として小屋に蛍光灯を取り付けてやった。これには飯屋に来る客は大喜び。中にはチャーハンを食べに来るより昼のように明るい行燈(蛍光灯)を目当てに来る客も多かった。噂が広がり大変な繁盛となった。また使用人の家族も働くようになり収入が増えた。雄一は神様だと言われるようになっていった。これが雄一の置き土産だ。勿論、雄一が離れても約束を交わした報酬は入る。
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