58話 秋山半兵衛
【川越藩は武蔵国の大藩。領地は埼玉だけでなく相模や上総など多くの飛地もあった。藩役人は多忙で多くの文書の処理がなさ役所も活気があったろう。川越だけでなく三浦半島の防衛のために千六百人もの藩士が現地の陣屋に詰めていた】
こんな飛び地に千六百人も派遣出来るなら、想像だが川越藩は少なくても八千人から一万人以上の藩士を抱えていたのではないかと推測する。他にもこんなし資料がある。一万石につき武士なら百人雇いてその足軽など計二百三十人とあるが、川越藩は忠利が藩主で三万七千石なので八百人程度しか雇いない計算になる。そうなると資料と合わなくなるので、やはり推測で物語を進める事にします。
やがて八月も終わる頃の季節としてはまだ暑い。駕籠を担ぐ方は大変だったろう。その一行が木綿屋の前で停まり主の宗右衛門を呼んだ。
城からの使者が突然見えたと聞き、慌てて宗右衛門は出てきた。
「秋山半兵衛と申す。我が殿が揚げパンと玉子焼きなるものを、えらく気におられて是非その発案した者を城に連れて参れとの仰せじゃ、なんでも異人のような大男と聞き及んでおるが、どちらにおられる」
「はあ、その方なら間もなく、こちらにお出でになると思いますが? そのお方は色々と仔細がありまして……」
「うむ、多少の事は聞いておるが、悪いようにはせぬ。殿が丁重にお連れするようにとの仰せじゃ」
そんな所に、いつものように裏道からオートバイで雄一がやってきたが、何やらいつもと違う雰囲気に雄一は何事か思った。
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